第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

プルル!プルルル!

メリー「んしょ……はい、もしもし?ご主人さまの携帯です」

クロ「お前が出るのかよ?!」

メリー「はい、あっ、はーい。待っててください。クロ、ご主人さまに持ってって」

クロ「っで、私が持ってくのかよ……」

福太郎「何かいま携帯鳴らなんだ?」

クロ「あぁ、電話だとよ」

メリー「メフィストレスからよ」

福太郎「メフィさんから?はい、もしもし?」

メフィスト『フクタロさん、ドウモデース。ご主人様なんて呼ばせてるんデースね』

福太郎「メリーちゃんだけですよ。クロがご主人様やいうほど従順やないですし」

クロ「誰が言うかよ!」

福太郎「ほんで、なんですのん?」

メフィスト『おお、ソウソウ。妖怪の受け入れをお願いしたいのデースがよろしいデスか?』

福太郎「妖怪の受け入れ……んー、はい、大丈夫です。」

メフィスト『それは良かった。希望者の書類はモウ送ってあったんデスが……』

福太郎「書類?すんませんまだ届いてな――」

コココン!コココン!

クロ「あん?なんだ、窓にカナブンでもぶつかったか?」

バササ…バササ…

蝙蝠『キー!キー!』

クロ「こ、蝙蝠?」

すっきー『あれ、なんか掴んでないっすか?』

福太郎「……書類もしかして蝙蝠で飛ばしました?」

メフィスト『届いたようデースね。今回の方は以津真天さんで二日後なのでよろしくデース』

福太郎「あ、はい……イツマデンか。」

以津真天は戦などで亡くなり供養されなかった魂が集まって妖怪になったものだ。いつまで自分を放置するのかと「いつまでいつまで」と醜い怪鳥の姿で鳴く妖怪。

蝙蝠『キキッ!』

メリー「蝙蝠さん、ご苦労様」

蝙蝠『キッキー!!』

すっきー『早っ……蝙蝠ってあんなに早く飛べるんすね』

クロ「以津真天か……いいのかよ?」

福太郎「んー、別に問題はないやろ」

クロ「私も昔見たことあるが不気味な取りだぜ?」

福太郎「俺も書物では読んどるし知っとるよ。気味が悪いってだけで退治される妖怪やろ。でも、そんな妖怪も現代に進出できるようになったんはええことちゃう?」

クロ「そりゃそうだがよぉ」

萃香「へぇ、なかなか立派なこというじゃないか」

福太郎「……あら、伊吹ちゃん」

萃香「よっ。また来てあげたよ」

福太郎「とか何というてお酒呑みに来ただけやろ」

萃香「はっはっは、まぁ概ね正解ね。けど、用件は別にあるんだよ」

福太郎「べつ?」

萃香「風の噂で聞いたよ。あたしの仲間が世話になったそうだね」

福太郎「んっ?あぁ、鬼君のことか……噂ってどういうルートで流れるん?」

萃香「主に隙間からね」

福太郎「隙間……」

すっきー『わ、私じゃないっすよ?』

萃香「紫だよ」

福太郎「そんで、なんか問題が?」

萃香「いいや、礼を言いに来ただけだよ。同族が世話になったねと」

福太郎「そらまたわざわざどうも」

萃香「鬼は義理堅いんだよ。さっ、じゃあ呑もうか!」

福太郎「そっちが本命ですやん」
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