第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー百鬼襖の部屋ー

福太郎「んっ、掃除終わり……。」

クロ「てゅーか、別に掃除するほど汚れてねーじゃん。あの鬼、しっかり部屋片していってっし」

福太郎「せやね。ああいう真面目な妖怪もやるんやな」

クロ「まるで他の妖怪が真面目じゃないといいたげだな」

福太郎「後楽さんとか」

クロ「アレは妖怪界でも指折りの恥さらしだ。私らと同じにするな」

福太郎「全否定やね」

クロ「一緒にされるのが失礼ってもんだろ」

福太郎「しかし、暑いなぁ。きゅーけいしにもどろ」

クロ「あぁ、そだな」





ー福太郎の部屋ー

メリー「あ、ご主人様、ご苦労様」

福太郎「んっ。」

クロ「私にはなしかよ」

メリー「あ、うん、クロもお疲れ」

クロ「いつかハードオフに売ってやるからな」

メリー「なによ!」

福太郎「はいはい、喧嘩はやめやぁ~。ふぅ、冷たいお茶が美味し」

すっきー『福さん、お手紙が届いてたっスよ』

福太郎「手紙?」

すっきー『えぇ、まぁ私は触れないのでそのまま放置してますけど』

福太郎「メリーちゃんにでもいうて拾って貰ってや……あっ。」

すっきー『借金の催促っスか?』

福太郎「すっきーは今度くすぐりの刑な」

すっきー『ひーん……どうして私は余計なひと言いっちゃうんだろう』

メリー「ご主人様、誰から?」

福太郎「鬼君」

御堂福太郎殿へ

お久しぶりです。
お世話になった鬼です。
無事保育士免許がとれました。これからも頑張っていきたいと思っています。園児の子たちはみんな優しい子達でいつも「おにーさん、おにーさん」と寄ってきます。最初はお兄さんを鬼さんと呼ばれたようでどきっとすることもありましたが今は全然大丈夫です。

皆さんにお世話になった御恩は一生忘れません。本当にありがとうございました。

PS.落ち着いたら顔を見せに行きます。

クロ「相変わらずめちゃくちゃ達筆だな。普通に私より上手い……」

すっきー『しかもこれ筆文字っすね』

福太郎「んっ、なんにしても上手ぁいっとるんやったら良しやね」

メリー「ねぇねぇ、ご主人様。」

福太郎「んー?」

メリー「これからも歪屋さん続けるの?」

福太郎「んー……せやなぁ、クロの仕事としてお願いしようかなーて思とる」

クロ「うぉい!?」

福太郎「ま、なんにしても一回メフィストさんと話してからやね。今回の報酬とかもまだもろてないし」

すっきー『おー、さすが抜け目ないっす』

福太郎「抜け目ないとかやなーて正当な報酬です」

クロ「……ちなみによ、鬼の質問の答えは出たのかよ」

福太郎「質問?」

クロ「なんでこの仕事してるのか」

福太郎「んー……夢を追いかけてキラキラしとるんが好きやから?」
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