第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

鬼『おはようございます』

福太郎「ん、おはよさん。朝ご飯、食べよか」

鬼『ウス』

福太郎「ほな、まずは……」

「「『いただきます(っス)』」」

クロ「ほら、卵」

鬼『う、ウス…!』

がっごっ……ぐしゃっ!

福太郎「……うん、打ちつけるんはできるようなったね」

クロ「手ん中で握りつぶしてるじゃねーか」

鬼『……』

福太郎「はいはい、クロはそーいうこと言わんのやし、鬼君はいちいち落ち込まんの。まだ二日目やろ誰も彼もが苦手なことホイホイ出来るわけやないんやし」

鬼『ウス……。』

福太郎「んで、今日からの予定やけど……俺は普通にバイトがあるけん。クロが鬼君の先生してもらいます。」

クロ「もう、いいけどよ。なに教えりゃいいんだよ」

福太郎「んー……鬼君読み書きは?」

鬼『一応、こんくらいは……』

さらさらっ……

すっきー『これは……』

クロ「おぉ……」

メリー「これなんて書いてあるの?」

福太郎「……読めん。」

クロ「古書みたいな字かくんだな……」

鬼『読み書きはかなり学んだんスけど……ダメっスか?』

福太郎「いや、多分これはこれで超絶に上手いんやろうけど……。現代文字もガンバろか。えーと……たしかぁ、りんねセンセが……んっ、あった。はい、漢字ドリルと計算ドリル。これ頑張ってもらうとしよ」

鬼『ウス!頑張ります!』

クロ「これ……私が見るのか?」

福太郎「まさか、読み書きできんとか……」

クロ「なめんなっ!お前より生きてるしゴースト計算だってできるっーの!」

福太郎「妙な特技あるんやね」

クロ「十露盤(そろばん)使ったら普通に覚えるんだよ」

福太郎「へー、そうなんや。ま、ええわ。ほな、俺はバイトいってくるけん。あと、よろしゅう」

すっきー『いってらっしゃいっス』

クロ「気ぃつけてなー」

メリー「いってらっしゃい、ご主人様!」

鬼『……バイトってなんスか?』

クロ「仕事のことだよ」

鬼『ほうほう。』

メリー「ぇねぇ、鬼さん、鬼さん。」

鬼『え、あ、はい?』

メリー「あのね、その赤い表紙の本とって」

鬼『これっスか?』

メリー「そうそう、それはね辞書っていうの。分からない言葉とかはそれで調べるといいよ。意味とかも載ってるから」

鬼『へー、なるほどありがとう』

メリー「どういたしまして、勉強がんばってね!」

鬼『ウス!』

すっきー『メリーちゃんのが先生っぽくなってますよ』

クロ「だな。」

すっきー『……犬扱いが酷くなるっスよ』

クロ「なっ、だっ、ぐっ!よーし、鬼!びしびしイクからなっ!とっとと飯食え飯!」

鬼『う、ウス!』
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