第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー百鬼襖の部屋ー

ぴぽん!
たったったっ…

りんね「こんにちは!備品のお届けにあがりました!」

鬼『!!』

福太郎「ん、こんちは。」

鬼『!?』

福太郎「んー、大丈夫やよ。鬼君。重たい荷物やのにすんません」

りんね「いいのいいの。これもお仕事だしなんのことないわ。」

福太郎「鬼君、こん人は俺の隣に住んどる富士見りんねさん。君がこの家にいるあいだ生活に必要なものを届けてくれる人や。」

りんね「はじめまして富士見りんねよ。気軽にりんねって呼んでね。福太郎さんのサポートと本業は教師をしているわ。はい、握手」

鬼『ウス…』

きゅっ

福太郎「今から商店街を見にいくつもりです」

りんね「へぇーいろんな人(妖怪)がこっちに来て生きてるけど、みんな違う世界で精一杯頑張ってるわ。きっと鬼さんも大丈夫だから、色々大変だろうけどくじけずに頑張ってね!」

鬼『う、ウス///』

福太郎「おー…先生っぽい」

りんね「うふふふ、先生ですよ」

福太郎「あい、すんません。そうでした」

りんね「じゃ、私は行くんで着替えの服は段ボールの中よ。」

鬼『服?』

福太郎「ん、街を見にいこう思うんやけど……そのままの姿で外に出たら周りが混乱するんよ。やから人間に化けてもらうんやけど、君って化けられるん?」

鬼『一応…』

福太郎「ホンマは、そのままの姿で生活できたらええんやけどね。なかなかそうもいかんのよ……勘忍な」

鬼『俺化けるの下手っすよ…』

福太郎「ん、なんや皆最初はそうらしいけん大丈夫や。」

メリー「化けるとこ見せて見せて!」

鬼『ウ、ウスッ』



~鬼変化中~


福太郎「ん、なかなかええやん。なぁ、メリーちゃん」

メリー「うん、何処から見ても大きなお兄さんにしか見えないよ」

鬼『う、ウス』

福太郎「ほないこか」




ー商店街ー

ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

鬼『お、オォ…ふ、福太郎さん。人多くないっスか?』
きょろきょろ

福太郎「んー、なかなか活気あるやろ」

鬼『お祭りでもあんスか……?』

福太郎「普通やよ。むしろ平日やし少ないくらいや」

鬼『おー、そっスかぁ…』
ニュッ!

福太郎「ん、角!角でとる!」

鬼『ス…スンマセン…。気ィ抜けないっスね。あと、このちょこっと出てるの大丈夫なんすか…?』

福太郎「そんくらいは大丈夫見たいやで。霊感のある人くらいしか気づかんやろ。せすぜい鋭利なたんこぶに見えるよ。皆気づいてないやろ。」

鬼『そうっすか…』

福太郎「まぁ、とてつもなく目立つことせんかぎり平気やで」
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