第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋別室前ー

メフィスト「はいはい、本日はお日柄もよく絶好の日よりデース」

福太郎「……」

メフィスト「そーんなに緊張しなくていいデースよ。」

福太郎「はぁ…。」

メフィスト「はい。これをお渡ししておきますネ」

福太郎「本?って、多!!」

メフィスト「マニュアル本デース。主な仕事の流れ、それに現在人間界で働いている方々の簡単な詳細。あとは同業者方の連絡網デース」

福太郎「なんや、本格的にやらされる流れになってません?」

メフィスト「ククク、まさかそんなことワ」

福太郎「……」

メフィスト「まぁ、とりあえずデスから。そんな目をしないでくだサーイ」

福太郎「はぁ」

メフィスト「では、目を通しておいてくださいデース。いつ、向こうから分かりませんデスからね」

福太郎「そんな突然くるもんなんですか?」

メフィスト「いいえ、何カ月も前から連絡がある場合もありますヨ」

福太郎「それ、無い場合もあるいうことですやん」

メフィスト「そのとおーりデス」

福太郎「……」

メフィスト「っで、次はこちらデス」

福太郎「夢見長屋の一室?」

メフィスト「ここは元々転移実験室でした。」

福太郎「転移……?」

メフィスト「タイムマシーンと何処でもも繋がるドア的なものを作ろうとしていたのデース。」

福太郎「すご……ほんで、どうなったんです?」

メフィスト「度重なる魔実験でゲートは出来たのデスが……まぁ、中からあれやこれやと魔獣や謎の生物があふれ出てきてしまいましてな。いやー、あの時は楽し……いやいや、大変でしたヨ」

福太郎「……それ、一種の失敗言うんちゃいますの?」

メフィスト「……ま、細かいことはいいじゃないデスか」

福太郎「細かぁないでしょ」

メフィスト「色々あって今は極々普通の転移装置となっていマースよ」

福太郎「色々と端折った」

メフィスト「ここの鍵はコレデス。無くさない様にしてください」

じゃら…
福太郎「はぁ……開けても?」

メフィスト「ドウゾ」

ガチャ……!

福太郎「…………って、ウチの部屋と内装同じですけど」

メフィスト「そりゃそうデス。ささっ、こっちデスよ」

福太郎「はぁ……」

メフィスト「ここデス」

福太郎「押入れ?」

メフィスト「そこを開けてくだサーイ」

カララ……
福太郎「あら、さらに襖?」

メフィスト「百鬼襖(ひゃっきふすま)。この奥はあらゆる異界と繋がっているのデス。ちなみにこちらからは基本的には開きません。」

福太郎「基本的には?」

メフィスト「ま、それはいいでしょう。向こうから来るときは向こうが勝手に開けて入ってくるので、その時は迎え入れてあげてくださいデス」

福太郎「それってランダムでいきなりいうことですか?」

メフィスト「ご安心をちゃーんと何日の何時頃と連絡が来ますから」

福太郎「誰から」

メフィスト「誰かから」

福太郎「わぁー、アバウト……。」

メフィスト「HAHAHA~。」
60/100ページ
スキ