第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

後楽「よう。」

福太郎「んー、ああ、ども」

後楽「兄ちゃんか姉ちゃん来てないか?」

福太郎「悠なら居ますよ」

悠「バラすなよ!」

後楽「あぁ、やっぱりここにいたか」

悠「一応聞いてやる何の用だ」

後楽「お金ください」

悠「嫌じゃ!!」

福太郎「もういい訳とか繕いなしにストレートやな」

後楽「おじさん、こう見えて一直線な男なんだよ」

悠「なら一直線にハロワ行け」

後楽「まぁ、いいや。折角だし上がらせてもらうぜ」

福太郎「どうぞ」

悠「無視だな。無視なんだな」

メリー「ねぇおじさん」

後楽「んー、なんだぃ。」

メリー「おじさんには狐さんの知り合いいない?」

後楽「居るけど」

悠「揺光か」

メリー「私、ケサランパサランが欲しいの」

福太郎「狐の落とし物ケサランパサランなんてまた懐かしいネタやな」

悠「そんなもの迷信だろともう言えない環境だし、揺光が落としたとしたら……ドラゴンボールレベルの効果がありそうだが」

後楽「揺光が落し物なんかするこたぁ。まずあり得ないな。罠にはめるためとかならあり得るが」

福太郎「ドロップアイテムとして落とすかも知れんで」

悠「戦闘に持ち込んで勝てるレベルじゃねーし、アレを力でねじ伏せれるなら大抵の願いは自力で叶えられんべ」

後楽「ぐびぐび……ぷはぁ。」

福太郎「すでに飲み始めて出来上がりかけとるんが約一匹」

メリー「狐が落とすのはケサランパサランなら……狸は何をおとすの?」

後楽「あ?おじさんが落とすもん?決まってんだろ?この世の女子全てだ」

悠「淫獣め!!」

後楽「つうことでお姉ちゃんのいるお店いくからお小遣いちょ~だい?お馬さんで倍にするの、きひひ」

福太郎「落とすんは大人の威厳やったな」

悠「やだ、福ちゃん上手」

後楽「そんな感じで妻子からの好感度も落としました。いとをかし……」

福太郎「これは笑えない」

悠「笑えないけど身を切った痛々しい上手さだな」

後楽「ちなみにケサランパサランならおじさんも持ってるぜ。あげるからお小遣い貸して?」

メリー「本物なの?」

後楽「間違いねぇよ。二か月前にある老人から譲り受けた、食べ残しの団子から生まれたんだぜ!」

悠「白カビだろ!キタネーから捨てろ!」

メリー「時間の無駄だったわ」

福太郎「俺はそこそこ面白かったで」

後楽「で、誰が貸してくれんの?バクチで勝って倍にして返すからよう」

福太郎「このまえ貸した分の利息は倍にはなっとるよ」

悠「おれなんてヘタしたら中古車が買えるくらい貸してる」

後楽「んだよ兄ちゃん達のケチんぼ!!いいもんおいちゃん宅飲みするモン」
ゴロゴローン

悠「アルカホリック破戒僧め」

福太郎「うちを宅扱いしだしたしな」

メリー「ねぇ、なんで大人はお酒呑むの?オジサンはなんでお酒呑むの?」

後楽「……そうさなぁ、酔って忘れちまいてぇのさ……やりきれねぇことを皆、酒で流して忘れちまうのさ。そして……今日飲む酒で借金したことを忘れる」

悠「いや、働いて返せよ!!!」
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