第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ゴンゴンっ!ピポンピポピポピポ!

福太郎「んー……?」

クロ「チッ……うるせぇな朝っぱらから何だ」

メリー「誰かがチャイム連打してる」

福太郎「悠かな……?」

ぴぽぴぴぴぴぴぴぽん!

クロ「うぜぇ……早く出ろよ」

福太郎「俺が?」

クロ「お前ん家だろっ!!」

福太郎「はぁ、寝起きが悪いなぁ…。はいはい、今開けますて」

ガチャ!

ミハイル「呼ばれてないのにじゃじゃじゃじゃーん」

バタン!ガチャ!

福太郎「ふぅ、まだ寝ぼけとるみたいやな」

ミハイル「よくあることだ。僕もまえ寝ボケて部下の尻に噛みついて出血多量で生死の境をさまよわせたことがある。」

福太郎「侵入しとる?!」

ミハイル「玄関を開けたのはお前だろ」

福太郎「そっこう閉めましたゃん」

ミハイル「僕のスピードをもってすれば入ることは朝飯前だ」

福太郎「ゴキブリみたいな人やな」

ミハイル「僕はゴキブリ愛好会の名誉顧問だ」

福太郎「そんな愛好会がありますん?」

ミハイル「ある……っが、それよりも貴様、昨晩はよくも逃げてくれたな」

福太郎「んー……どうやってここを?」

ミハイル「僕の血の匂いを辿って来た」

福太郎「もういろいろといいたいことあるけど総合して……気持ち悪い」

ミハイル「やかましいわ!ひとの尻を刺しおって!」

福太郎「痛かった?」

ミハイル「当たり前だボケっ!」

福太郎「ほな、すんませんでした」

ミハイル「素直に謝るんならボクも許してやらんこともない」

福太郎「ほな、さいなら」

ミハイル「うん、バイバイ」

バタン、ガチャ!

福太郎「ふー……」

ミハイル「……」

福太郎「えーと……気持ち悪いんで閉め出したのに背後に現れるんは止めてもらえんかな。気持ち悪い」

ミハイル「貴様はさんざんひとのことを気持ち悪いというな!」

福太郎「いや、だってホンマに……」

ピポン!ピポン!

悠「福ちゃん、朝から遊びに来たぞー……」

福太郎「悪いんやけど今取り込み中で」

ミハイル「おっ!」

悠「掴み投げっ!」

ブンッ!グシャ!

福太郎「……」

悠「ドア閉めろ、ドア。やつは隙間があったら入ってくるぞ。なんであんなのを家にあげる。病気になるぞ」

福太郎「いま、投げ捨てたよな」

悠「アイツは殺しても死なないから平気だ。」

どんどん!
ミハイル「コラー!なにをするっ!ここを開けろ!!」

福太郎「うわ、ホンマ……。めちゃくちゃ元気」

悠「生命力だけならゴキブリの比じゃないからな……。」

どんどん!
ミハイル「開けないと爆破するぞ!」

福太郎「物騒なこというてるけど」

悠「うーむ……福ちゃん、百円玉ある?」

福太郎「あるけど?」

悠「窓の外に向かって思いっきり投げてくれ」

福太郎「……えいっ!」

ちゃりん!
ミハイル「はっ!小銭の落ちた音がしたぞ!拾ったら僕のもんだぁぁ!!」

福太郎「……言ってしもたな」

悠「これで多分、小銭のことでいっぱいになって戻って来ないはずだ」
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