第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近くー

福太郎「ほな、さいなら」

ミハイル「はい、そうですかとただで返すと思ってんのかこの野郎」

福太郎「どないせいといいますのん」

ミハイル「そうだな。今見たことの記憶を消さしてもらう」

福太郎「どないして?メンインブラックみたいな器具?」

ミハイル「器具ではないな道具は使うが……これでいいかな」

福太郎「手ごろな石をどないしますのん」

ミハイル「これでお前の頭を殴る。それで記憶を消す」

福太郎「記憶の前に命の灯がきえますやん」

ミハイル「僕は天才だ。致命傷にはならなくしてやる。後遺症やそのたもろもろは知ったこっちゃないが」

福太郎「天才やったらそないな原始的かつ野蛮で不安定な方法やなく、もっとスマートな方法をとってーな」

ミハイル「やっっかましいわっ!屁理屈ばっかりいうな!」

福太郎「わぁ……会話が通じへん」

メリー「えぃっ!」

ザグリッ!!

ミハイル「ぶぎゃあああぁぁぁ!!」

福太郎「わっ!」

ミハイル「刺さった!何かがケツに刺さった!!」

メリー「ご主人様、今のうちに逃げよう!!」

福太郎「メリーちゃん、無茶するなぁ……ま、でも、ナイス」

メリー「イエーイ!」

福太郎「ほな、三十六計、後ろを向いて全力疾走!」

ミハイル「くそー、なんなんっ……アッ!待て逃げるなッ!!」

福太郎「逃げるな言うて、止まる奴はおらんっての!」

メリー「べーーっ!」



~逃走中~



ー福太郎の部屋ー

福太郎「はぁはぁ……夜中のかけっこは夏にははぁ、したぁなかったな」

メリー「怖かった……」

すっきー『おかえりなさいっす。随分と遅かったすね』

福太郎「ちょっと色々あってな……」

すっきー『それであの光はなんだったんすか』

福太郎「えーと……宅配便」

すっきー『はい?』

福太郎「うん、宅配便の乗り物やった」

すっきー『いや、ちょっと待ってください。いろいろと分からないんですけど』

福太郎「分からんままのがええこともあるんやで」

メリー「ご主人さまー、ちょっとこれ見て……」

福太郎「ん?どないしてん?」

メリー「剣に紫色の汁が付いてるの……」

福太郎「紫て……うーわ、ホンマに真紫やん」

すっきー『なんすかそれ、めちゃくちゃ毒々しいんすけど』

福太郎「なんなんやろか……」

メリー「アイツの体液にきまってるわっ!!」

福太郎「医学的なことは素人な俺やけど、人類が紫色の体液を保有することは無いと断言できるで」

メリー「どうしよう、どうしようこれ!」

福太郎「とりあえず洗い流そう。んで、洗剤でもあろーて、さいご煮沸消毒したら…………たぶん大丈夫や」

メリー「平気かなぁ…。」

福太郎「最悪「毒」属性の剣になるな。真・ゆうしゃのつるぎ(毒)」

すっきー『(笑)が毒に変わったら笑えなくないっすか?』

福太郎「笑いが無ーなって、笑えないとか……」

すっきー『そういう深い意味でいったんじゃないっす!!』
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