第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「はて…」

すっきー『わっ!な、何してるんスかこんな夜中に電気もつけず』

福太郎「トイレの帰りやけど……いま、自分驚かんかった?幽霊やのに」

すっきー『幽霊だからってほとんど関係ないような人らばっかりじゃないっすか。むしろ、幽霊なのに驚かされて困ってるっすよ!』

福太郎「さよか」

すっきー『軽いし……っで、なにしてるんすか』

福太郎「トイレやって」

すっきー『それは聞きましたけど、なんか今「はて」って疑問したじゃないっすか』

福太郎「聡いなぁ。いや、外で何か光ったような気がして……あっ、ほら」

ピカッ!

すっきー『花火……にしては静かっすね』

福太郎「せやろ。なんかなー」

すっきー『見にいかないんスか?』

福太郎「怖いやん」

すっきー『怖いって……』

福太郎「仮にもしヤンキーがなんかをピカピカさせとったらいややん、ほら、俺って一般人より非力貧弱やし」

すっきー『自分でいうことですか』

福太郎「自分やからいえることもあるんやで。客観的に自分をみとるってことやし」

ピカッ!

すっきー『それでどうするんすか?』

福太郎「んー……いってくる。」

すっきー『結局?!』

福太郎「見たらいかん、いったらいかんって言われたら……見るし行くやろ」

すっきー『怖がりなのに、怖いものを見に行くってどんな心理っすか、っていうか、そんなだから悠さんに死にたがりとかいわれるんスよ』

福太郎「ただのビビりやって。悠はちょっと心配し過ぎなだけやし。」

ピカッピカッ!

すっきー『なんか、点滅し始めましたっすね。』

福太郎「せやね……ま、ほな、ちょっと見てくるわ。」

すっきー『気をつけてっす』




ー夢見長屋近くー

ピカッ!

福太郎「なんや、蛍みたいな光やな……。蛍やったらいったいどんだけデカイんやろか……けど、不気味やろな……おっ?」

「まったく、こんなところに落ちたらダメだろ」

【×××××】

「僕がたまたま日本にいたから良かったものの……このあたりには怖い人間がうようよしてるんだから気をつけろよ」

【×××××】

「分かればいいんだ。なぁに、礼はオーパーツかダークマターとかでいいからな。」

福太郎「……(潰れた肉まんみたいな顔した子供と見るからにまんま宇宙人が話ししよる。片方は完全に日本語やけど片方は意味分からん音やな。っていうか、これは所謂……MIB(メンインブラック)的なシーンやろか)」

「むっ、そこにいるのは誰だ!」

福太郎「(アカン、ばれた?!)」

メリー「にゃ、にゃー、にゃー」

福太郎「(メリーちゃん?!いつのまに……)」

「なんだ、キリギリスか」

福太郎「(なんでやねんっ!)」

メリー「(ご主人様、ツッこんだらダメっ!)」

【×××××】

「ん、ああ。ただの虫の鳴き声だ。ほら、宇宙船はこれで直ったぞ」

【×××××】

「いやいや、構わんよ。礼は月からダイヤモンドの塊りでも掘り出して僕の宮殿にでもとどけてくれたらそれでいい」

【×××××】

「うむ、では気をつけてな」

バヒュッ!!

福太郎「(ホンマに飛んでった…)」

「さて、僕も帰るか」

てくてくてくてく……

福太郎「……いったみたいやな」

「そうだな」

メリー「きゃーっ!潰れた肉まんが喋ってるー!!」

「誰が三日間放置してカチカチになって屋上から落として潰れた上をブルドーザーとロードローラーで引き潰した肉まんだ!!」

福太郎「そこまでいっとらへんて」
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