第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

後楽「兄さん、金貸してくれ」

福太郎「イヤです」

後楽「おいおい、もう少し考えてくれよ」

福太郎「…イヤです」

後楽「本当にほんの少ししか考えないな」

福太郎「そーいいますけど、何に使うつもりなん?」

後楽「今日はお馬さんの気分だからお馬さんを見にいく」

福太郎「見にいくだけや、ないでしょ。」

後楽「10倍にしてやるぜ!」

福太郎「俺は投資とかはせんので」

後楽「つれねーなぁ……」

ミツバ『フクタロさん、ちょっとお散歩いってきますね』

福太郎「んっ、自転車から車まで色々な事に気ぃつけてな」

ミツバ『はーい』

後楽「っーかよぅ、兄さんて動物と話せるんだったよな」

福太郎「ええまぁ、そうですけど」

後楽「だったらよぉ、いっしょにいって馬と話してひと儲け出来んじゃね?」

福太郎「そうそう上手ぁいきまへんよ」

後楽「試したことあんのか?」

福太郎「ないですけど」

後楽「だったら、ものは試しじゃーか。さっ行こう行こう、すぐ行こう、ほら行こう」

悠「……」

後楽「おう、兄ちゃん。ちょうど良かった金貸してくれ。なーに、安心しろ今日は50倍にして返してやるから」

福太郎「ブレんなぁ……。」

悠「後楽、ちょっと」

後楽「おっ、どした?兄ちゃんも行くか?おいおい、こっちは室内だぜ。っていうか、窓際で押したら危ないって……ぉっ?」

ドザッ!!

悠「…………よし」

福太郎「人ン部屋から突き落とすんは止めてくれんかな」

悠「大丈夫だ。」

福太郎「大丈夫なん?」

悠「あの程度で死ぬんだったら苦労はないよ……。しぶとさと居直りレベルは半端ない」

後楽「それでも痛いのは痛いんだぜ」

福太郎「早っ……」

悠「もう上がって来たか」

後楽「いきなり突き落とすなよ。坊さんにこんな真似すると罰が当たるぜ」

悠「やかましいわ存在自体が罰あたりの生臭坊主が!!」

後楽「げひひ」

福太郎「最近では自衛隊から坊主ンなる人も多いらしいけど、後楽さんはなんで坊さんに?」

後楽「経のひとつでもあげりゃあ。金入るかなと思ってな。あとはいい人、徳の高い人を装うためのカモフラージュだ。」

悠「全力全開で最低だな。下俗も下俗すぎる」

後楽「駅前でたってたら小銭くらいは稼げるしな。あと、綺麗なお姉ちゃんがお酌してくれる店で坊主の受けが良いんだよ。げひひ」

福太郎「ここまで来たらなんか清々しく思えてくるんが不思議やね」

後楽「じゃあとりあえず五万貸してくれ」

悠「今度は頭から落ちるか?んん?」

後楽「じゃ、兄ちゃんでいいから貸してくれ。っていうか、くれ」

悠「もしもし、保健所ですか?野生の狸が……」

後楽「待て待て、それはダメだろ。それにオジサンは家族だろ」

福太郎「保健所は怖いんや」

悠「っか、家族じゃねーし」

福太郎「小さい頃はおいちゃん、おいちゃんって懐いてたのによぉ…」

悠「思い出捏造罪で卍形めの刑に処すぞお前」

福太郎「しぶいな」
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