第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋界隈:オープンカフェー

福太郎「暑過ぎやろ副都心」

悠「はは、福ちゃんだらしないぞ。おれなんか余裕だぜ」

福太郎「ごめん、俺こっち、それ店の置物」

りんね「暑さでだいぶん脳が茹だってるみたいねぇ」

福太郎「上から下まで真っ黒やしなぁ」

悠「下は迷彩だ」

福太郎「せやからそれ置物。そんなに俺と似とる?そのシーサー」

悠「いや、ただの冗談」

福太郎「安心したわ。あまりにキツイんやったら水ぶっかけようかとグラス握ってしもたし」

悠「ははのはー、福ちゃん。それ冗談じゃなくてマジでいってるだろ」

福太郎「うん」

りんね「仲良しさんね」

悠「放課後電磁倶楽部並の仲の良さです」

福太郎「あの恰好は勘弁やな」

りんね「ふふっ」

悠「っか、飯奢ってもらっていいんすか?」

りんね「えぇ、買い物には着きあってくれるし、エスコートまでしてくれたからね」

福太郎「荷物持って腕とか千切れられたら笑えんし」

悠「躓くたびに惨殺現場みたくなられても困るからな。」

りんね「もー、そんなドジじゃありません。ぷー!」

悠「ドジじゃ済まないドンくさいのレベルです」

福太郎「30オーバーで「ぷー」っていうんも」

ブチチッ……むぎゅ!

りんね「先生は20代後半よ」

福太郎「……コクコク」

悠「届かないからって自分の片手引っこ抜いたの持って福ちゃんの口押えるってどんな脅し方なんだか……っていうか、血落ちてる血っ!」

店員「……」

福太郎「あっ、すんません。手品なんで気にせんでください。ちゃんと掃除しますんで」

店員「は、はい。ステーキセット置いておきますね……。」

悠「店員のねーちゃんドン引きしてたぞ」

りんね「あら、どうして?」

福太郎「そら、ターミネーター2のシュワルツネッガー以外で自分の手引っこ抜くん見たらビビりますて」

悠「正確に言うとアレは外皮だけどな」

りんね「それより食べましょう。お腹すいたでしょ」

福太郎「オープンカフェでステーキっていうんもなかなかな組み合わせやね」

悠「屋外で肉っていいゃん」

福太郎「悠はビアガーデンとか好きそやしな」

りんね「二人とも若いんだしお肉大好きでしょ。」

悠「先生はそろそろ肉の消化が厳しいか?腐食も進んでるだろうし」

りんね「ふんふふーん、はい、悠君あーん。」

悠「まって、それ肉だけど牛のやない。人の肉、アンタの腕の肉だから。やめて、口元持って来ないで入る!入るから!!」

福太郎「強制カニバリズム……」

悠「はぁはぁ……あやうく、ダメな一線を越えかけた。」

りんね「さぁ、冷めないうちに食べましょう」

悠「ときどきアンタがある意味最強なんじゃないかと思いだし始めたよ……」

福太郎「ヘタに手だしたら即スプラッタやしな」

悠「おれも人を1200人くらいは殴ってきたけど触れた部分がミンチになるのはマジで怖い」

福太郎「1200人殴っとるいうんもなかなか怖いけどね」

りんね「乱暴なことはしちゃダメよ?」

悠「自分の腕肉を喰わそうとするのもかなりの乱暴だべ」
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