第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー海辺ー

福太郎「ふんーふんふ、ふーん♪」

メリー「ごしゅじんさまー!たすけてー!」

福太郎「む?今度はなに?」

大きなヤドカリ【……】

メリー「貝殻に触ってたらー!中から出てきたのー!!」

福太郎「メリーちゃんは甲殻類に好かれるフェロモンでもでとるん?」

メリー「しーらーなーいっ!」

福太郎「よいしょ……はい、おっぱらったで。」

メリー「海嫌い」

福太郎「来て五分も経ってないんやけど……そういや、悠はどこいったんかな」

メリー「波にさらわれてたらいいのにね」

福太郎「さらっとグロい事いうなぁ」

悠「おーい」

福太郎「ん?なんか抱えとる」

悠「コイツ助けたんだけど、竜宮城連れてってくれないんだよ」

亀『……』

福太郎「えー……そんなんよお居ったな」

悠「ちょっと、翻訳してくれない?」

福太郎「……えーと、もしもし?」

亀『……助けてください』

福太郎「……」

悠「なんていってる?」

福太郎「助けてくださいいうとるで」

悠「おれが助けたのに?!」

メリー「離してあげなさいよ」

悠「竜宮城が駄目なら海ガメのスープ」

亀『助けてください。食べないでください。許してください。』

福太郎「全身全霊で謝っとるし離したげて」

悠「しかたないな……ちょっとメリーちゃんおいで」

メリー「なによ」

悠「はい、この亀の上のって」

メリー「乗ってって……」

福太郎「あぁ、そーしたら甲殻類に襲われんしな」

メリー「えっ、えっえぇっ?!」

亀『あの……私はどうしたら』

福太郎「俺らが帰るまでメリーちゃんの足になったって」

悠「いっとくが……攫ったらここいら一帯の亀を狩るからな。福ちゃんが」

福太郎「そんな無茶な」

悠「そんで、描けた?」

福太郎「いや、まだものの五分くらいしか経ってないやろ」

悠「いや、調子いいときは両手に四本づつ、口に三本咥えて描きあげるじゃん」

福太郎「いつから俺はビックリ人間になったん?」

悠「おれの中では福ちゃんはビックリ人間のカテゴリーだけど」

福太郎「そら、意外やな」

悠「いや、動物と話せて都市伝説に囲まれてるし」

福太郎「たまたまやって、それに悠のがすごいやろ」

悠「おれの場合は凄い呪われてるだけどな」

福太郎「呪われて生きてけるってすごいやん」

悠「寿命を前借してるだけかもしれないけどな……」

福太郎「まぁ、長生きしょーや」

悠「互いにな」

福太郎「んー……」

悠「いや、イエスって言えよ?!」

福太郎「あははは」

悠「笑ってごまかしたぞコイツ……」

メリー「亀さん、つぎあっちー」

亀『……』

メリー「亀さんて結構はやいのねー♪」
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