第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー海辺ー

福太郎「んー……あいにくの曇り空やな」

悠「暑くなくていいだろ」

福太郎「せやね。けど、青空と青海を描きたかったなぁ」

悠「水色一色のキャンパス」

福太郎「それはなんか病んどるな」

悠「どーする、波打ち際ギリギリにセットするか?」

福太郎「んー、せやね。濡れん程度の位置に」

悠「あいよ」

メリー「ねー、もう出ていーい?」

福太郎「もうちょいがまんしてなー」

メリー「はーい」

悠「よいしょ……ん、こんなもんかな」

福太郎「荷物運んでくれる人がおったら楽やわぁ」

悠「べ、べつにアンタのためにやってあげたんじゃないんだからねっ!アンタがトロイから仕方なくやったげたのよ!」

メリー「なんでツンデレ」

悠「メリーちゃんの真似」

メリー「私そんなんじゃないもん!」

悠「さて、んじゃおれは……」

福太郎「海割るんやろ」

悠「はあぁぁぁ!光りあれ!って、モーゼるのは無理だよ。エロ本とか落ちてないか散歩してくるわ」

福太郎「ん、いってらー」

メリー「こんな所まで来て何してるんだか……」

福太郎「メリーちゃんも見える範囲で遊んできてええよ。水着にきがえた?」

メリー「着替えた」

福太郎「あと、これ、悠作の海用えくちゅかりばーやって」

メリー「それ、いらない」

福太郎「まぁまぁ、一応装備しときって」

メリー「むー……」

福太郎「波にさらわれんようになー」

メリー「わかってるー」

福太郎「さて……描こうかな」


~絵描き中~


メリー「きゃー、つめたーい♪」

カニ【……】

メリー「はっ?!」

カニ【……】

メリー「な、なによっ、やるっていうの?」

カニ【……】
かちかち、かちかち

メリー「むむっー」

カニ【……】
サササッ!

メリー「あっ、逃げてった……ふ、ふふーん。私に恐れをなしたの……」

大きいカニ【……】
ガチガチ、ガチガチ

メリー「……き、きゃー!!」


~逃走中~


悠「……」

ひっくり返った亀【……】

悠「……」

ころん
亀【……】

悠「よいしょ」

トスッ…
亀【!】

悠「竜宮城まで連れてってくれ」

亀【?!】


~無茶振り中~


福太郎「ふんふーん♪」

メリー「ごしゅじんさまー!たすけてー!」

福太郎「ん?」

メリー「カニが襲ってくるのー!」

福太郎「あ、これ大きいな食べれるんとちゃう?」

メリー「そんなのたべたくないっ!」
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