第零夜『変わり始めた僕の日常』
「それじゃあ、そういうことで良いかしら。しばらくは何かあれば私の方から連絡いれたりするし、必要な物があれば出来る限り用意するわ。ここまでで質問ある?」
聞いておきたいこと……。色々あったが今のところで二つだけどうしても気になったことを聞いた。
「この出入口何処につながとるん?」
「大丈夫、安全な神社に繋がってるわ」
何処かの詳しい説明はしてくれないのが八雲なのだとほとほと理解した。そのとき、その時で無いと説明する気ないらしい。もしくは体験して学べという事なのか……。
「じゃあ、逆にルーミアみたいなんが入ってくることはないん?」
「出入口だから当然入ってくるわよ。」
「……あの、ソレ、危なぁ無いです?」
「大丈夫よ。多分。だけど、一日一回しか出入り口は開かないからその点は注意してね。入ったら次の日の同じ時間にならないと帰れないし、戻せないからね。それじゃ、福太郎、悠、揺光、バイバーイ」
八雲紫は言いたいことだけいうと隙間の中に入って消えてしまった。彼女が居た辺りを手で振ったが空を切るだけで何もない。窓の外もいつもの風景に戻っている。どうやら本当に去ったらしい。今だにちゃぶ台に突っ伏したままの悠君がいう。
「たいへんなことになったな」
「はは、せやね。けど、まー生きとるし。ええかな。悠君もありがとな。色々としてくれて」
「いや、何もしてないっての。ただ話しをしただけだ。礼なら揺光にいってくれ。」
彼は手をひらひらと振った。ちょっと普段と違うそのクールな感じがカッコイイ。ちなみに揺光はずーっと彼の背中をさすっていた。
【悠~、怒るな~。故意ではないのじゃ。紫の阿呆が避けたから当たったんじゃ~。の~の~機嫌直してたも~】
どうやら起きられないわけでなく、わざと起きないようだ。俺は窓の外を見た。街灯とネオンが色づきはじめた街。都会がめを覚まし始めたようだ。この世界の都市伝説を調査する。突拍子もない話しだが……やってみよう。小さくつぶやいたのだった。
「わはー、お外がピカピカなのかー。」
「せやなー、ゴミゴミしとるけど悪うない景色や……ろ?」
俺はゆっくりと声がする方へと顔を向けた。さっき紫によって何処かに消されたはずの少女。ルーミアが両手を広げて滑空している。
「あの……ルーミアさん?」
「んー?」
「なんで此処に居てはりますのん?」
「お話をしてた時からいたのかー」
どうやら気がつかなかったが彼女はいつの間にか戻ってきてたらしい。八雲め、絶対に気がついていたのに置いていきやがった……。
「どないしよか……。」
俺が首を傾けて悩んでるとポンっと肩を叩かれた。揺光だ。もう片方の手を開くとガスバーナーの先っぽのように蒼い炎が盛りいった。
【消炭(やく)か?】
俺は全力で首を左右に振った。今の今まで暴力的なことがなかったのに最後の最後でそんなものは見たくない。俺はいった。
「待ったってくれや。たのむからやぁ…俺の目のまえで「人の形しとるもん」殺さんといてや」
【……】
何かまずいことをいっただろうか。揺光は目を丸くしていた。次の瞬間、真横から蛇のように腕が伸びて俺を抱きしめた。ギュッと絞められる。めっちゃくちゃ力強いし悠の顔が近い。
「福ちゃん、いいわぁ、今の分かるぞ。今のでおれは福ちゃんの事、本気で大好きになった。これからおれも手伝うから。頑張っていこうな」
どこでなにがどうしてか……悠のフラグが立ったらしい。っていうか、力強い。あと悔しいけど髪がサラサラでめっちゃいい匂いがしてくる。思わず新しい扉が開こうとした寸前で彼はパッと離れた。
「それじゃ、おれはそろそろ帰るよ。福ちゃん、ルーミアまたな」
【では、妾もそうするかのぅ。福太郎にるーみあよ。さらばじゃ】
手を振って玄関から出ていく悠と揺光。その二人に、小さな手を振って見送るルーミア。どうやら……俺の日常は新しい日常へと変貌を遂げたみたいです。
聞いておきたいこと……。色々あったが今のところで二つだけどうしても気になったことを聞いた。
「この出入口何処につながとるん?」
「大丈夫、安全な神社に繋がってるわ」
何処かの詳しい説明はしてくれないのが八雲なのだとほとほと理解した。そのとき、その時で無いと説明する気ないらしい。もしくは体験して学べという事なのか……。
「じゃあ、逆にルーミアみたいなんが入ってくることはないん?」
「出入口だから当然入ってくるわよ。」
「……あの、ソレ、危なぁ無いです?」
「大丈夫よ。多分。だけど、一日一回しか出入り口は開かないからその点は注意してね。入ったら次の日の同じ時間にならないと帰れないし、戻せないからね。それじゃ、福太郎、悠、揺光、バイバーイ」
八雲紫は言いたいことだけいうと隙間の中に入って消えてしまった。彼女が居た辺りを手で振ったが空を切るだけで何もない。窓の外もいつもの風景に戻っている。どうやら本当に去ったらしい。今だにちゃぶ台に突っ伏したままの悠君がいう。
「たいへんなことになったな」
「はは、せやね。けど、まー生きとるし。ええかな。悠君もありがとな。色々としてくれて」
「いや、何もしてないっての。ただ話しをしただけだ。礼なら揺光にいってくれ。」
彼は手をひらひらと振った。ちょっと普段と違うそのクールな感じがカッコイイ。ちなみに揺光はずーっと彼の背中をさすっていた。
【悠~、怒るな~。故意ではないのじゃ。紫の阿呆が避けたから当たったんじゃ~。の~の~機嫌直してたも~】
どうやら起きられないわけでなく、わざと起きないようだ。俺は窓の外を見た。街灯とネオンが色づきはじめた街。都会がめを覚まし始めたようだ。この世界の都市伝説を調査する。突拍子もない話しだが……やってみよう。小さくつぶやいたのだった。
「わはー、お外がピカピカなのかー。」
「せやなー、ゴミゴミしとるけど悪うない景色や……ろ?」
俺はゆっくりと声がする方へと顔を向けた。さっき紫によって何処かに消されたはずの少女。ルーミアが両手を広げて滑空している。
「あの……ルーミアさん?」
「んー?」
「なんで此処に居てはりますのん?」
「お話をしてた時からいたのかー」
どうやら気がつかなかったが彼女はいつの間にか戻ってきてたらしい。八雲め、絶対に気がついていたのに置いていきやがった……。
「どないしよか……。」
俺が首を傾けて悩んでるとポンっと肩を叩かれた。揺光だ。もう片方の手を開くとガスバーナーの先っぽのように蒼い炎が盛りいった。
【消炭(やく)か?】
俺は全力で首を左右に振った。今の今まで暴力的なことがなかったのに最後の最後でそんなものは見たくない。俺はいった。
「待ったってくれや。たのむからやぁ…俺の目のまえで「人の形しとるもん」殺さんといてや」
【……】
何かまずいことをいっただろうか。揺光は目を丸くしていた。次の瞬間、真横から蛇のように腕が伸びて俺を抱きしめた。ギュッと絞められる。めっちゃくちゃ力強いし悠の顔が近い。
「福ちゃん、いいわぁ、今の分かるぞ。今のでおれは福ちゃんの事、本気で大好きになった。これからおれも手伝うから。頑張っていこうな」
どこでなにがどうしてか……悠のフラグが立ったらしい。っていうか、力強い。あと悔しいけど髪がサラサラでめっちゃいい匂いがしてくる。思わず新しい扉が開こうとした寸前で彼はパッと離れた。
「それじゃ、おれはそろそろ帰るよ。福ちゃん、ルーミアまたな」
【では、妾もそうするかのぅ。福太郎にるーみあよ。さらばじゃ】
手を振って玄関から出ていく悠と揺光。その二人に、小さな手を振って見送るルーミア。どうやら……俺の日常は新しい日常へと変貌を遂げたみたいです。