第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー三日月ー

凛「どうぞ、サービスのスイカです」

福太郎「萃香……」

悠「どした?福ちゃん西瓜苦手か?」

福太郎「あ、いや、そんなことはないよ。おおきにです」

凛「いえいえ、ごゆっくり」

悠「福ちゃんと会うのがここが多くなってきたな」

福太郎「せやね。別にふつーにウチ来てもええんやけど」

悠「あっ、そうなんだ」

福太郎「え?アカンっていうた?」

悠「いや、言われてないよ」

福太郎「せやね。」

悠「まぁ、冗談はおいといて……最近夜色々と忙しくてな福ちゃんの所でのびのびする暇が無いんだ」

福太郎「ふーん、バイトか何か?」

悠「全部説明すると面倒だから短縮して説明すると夜、廃校で、穴掘ってる」

凛「……」

恵瑠「……」

福太郎「へー、どのくらいの穴?」

凛「(更に聞きこんだ?!)」

恵瑠「(ツッコミなし?!)」

悠「そんなに深くなくていいんだけど配管を見つけないとダメでな、部分的に深ぶかと掘る感じ」

福太郎「ふーん、大変やね」

悠「大変なんだよ」

福太郎「なんか発掘でけた?」

悠「これといっては何も……あ、でも棺桶が出てきた」

福太郎「ヤバゲやん」

悠「だろぉ。おれもどうしたらいいかわからなくてさ」

福太郎「わからんで……どないしたん?」

悠「とりあえず放置して見なかった事にした」

福太郎「んー……有りゃな」

恵瑠「ないですよ!」

悠「こら、なに盗み聞きしてる」

恵瑠「盗み聞きじゃなくてモロ聞こえのトーンで話してるじゃないですか!」

悠「女の子がモロとかいうなよ、はしたない」

福太郎「悠、アイドルにそのセクハラはアカンわ」

悠「反省……だが、断る」

福太郎「許したってな悪い奴やないんよ」

悠「善人でもないけどなッ!!」

恵瑠「なんで、そこを強調したんです?!」

悠「いや、いっとかないと善人オーラが溢れてるから勘違いしちゃうだろ」

福太郎「善人……オーラ?」

悠「そこを冷静に疑問視されたらいくらおれでもそこそこ恥ずかしいよ?」

恵瑠「言わなきゃいいのに……」

悠「おれのなかで蠢いてるんだよ……ボケの細胞が」

福太郎「サナダムシとか三葉虫とか?」

悠「そりゃ寄生虫だ!っか、三葉虫!?」

恵瑠「なに虫?」

福太郎「カンブリア紀に現れて古生代の終期(ペルム紀)に絶滅した節足動物や」

悠「古生代を代表する無脊椎動物だぞ。」

恵瑠「私歴史とかって苦手で」

悠「歴史じゃなく科学だよ!!」

福太郎「生物学ちゃう?恐竜図鑑とかにも載っとるし」

悠「恐竜ってカッコいいよな、英語で言うとダイナソー」

恵瑠「なんで英語で……」

福太郎「あ、ちょっと話しは戻るんやけど」

悠「どした?」

福太郎「善人オーラ溢れとる人って……女将さんちゃう?」

凛「え?」

悠「あー、たしかに迸ってるわ」
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