第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「んー……そろそろ寝よかなっ」

クロ「あー?もうちょっと遊ぼうぜ」

福太郎「夜型やなぁ。」

すっきー『まぁ、私らは基本夜型っていうか……夜中型?』

福太郎「昼夜逆転生活はお肌に悪いんよ」

メリー「すぅすぅ……」

福太郎「ほら、メリーちゃんやええ子やからもう寝とる」

クロ「いつの間にか寝てただけだろ」

福太郎「ということで、俺も眠ります。おやすみ」

ドザッ!

クロ「うぉっ……なんか落ちて来たぞ」

福太郎「へ?」

ルーミア「遊びに来たのかー!」

福太郎「……」

にこにこと笑っているルーミアを両手で抱き抱える。深夜に一度だけ幻想卿と繋がるトンネルの絵へと向かって押し付けた。

ルーミア「むぐぅーなのかーっ!!」

福太郎「……あかん、時間切れやったか」

すっきー『ていうか、迷いなしで押し返そうとしましたね、アンタ』

福太郎「んー……眠たいねん」

ルーミア「フクタロー眠たいのかー」

福太郎「夜やしなぁ」

クロ「客も来たんだ遊ぼうぜー」

福太郎「ほな、二人でトランプしてなさい」

クロ「馬鹿だな、ふたりでトランプしたってつまんねぇだろ」

福太郎「そのつまんないことに今まで付きおーされとった俺はなんなん……」

そのとき「きゅるる」っと可愛らしい音が鳴った。

ルーミア「お腹すいたのかー」

福太郎「そっかぁー……というても、なんもないんやけど、カップ麺でええ?」

ルーミア「たべたいのかー!!」

福太郎「ん、ほな……クロ、GO!」

クロ「私がつくるのかよ!?」

福太郎「小さなことからコツコツとクロさんにはしっかりと家事を覚えてもらわんとアカンのやから……でないと、犬鍋になるで」

クロ「サラッと怖い事いってんじゃねーよ!わかったよ!」

福太郎「うん、根は素直で助かるわ」

すっきー『ほとんど脅しじゃないっすか……。』

福太郎「そんなことないよ。ほら、俺、笑顔笑顔」

すっきー『笑顔だから怖いんスよ』

ルーミア「フクタロー」

福太郎「ん?」

ルーミア「犬鍋っておいしいのかー?」

福太郎「んーー……チラ」

クロ「こっち見んな!!」

福太郎「俺は食べたぁないかな。」

ルーミア「そーなのかー」

すっきー『私も見たくないっすよ犬鍋なんて』

福太郎「でも、肉に加工されとったら分からんよな」

すっきー『えー、分かるんじゃないっすか?』

福太郎「せやったらええんやけど」

すっきー『ところで、いい加減にルーミアちゃん下ろしてあげたらどうっすか?』

福太郎「あ、せやね。はい」

掲げたままだったルーミアを下ろして、自分も床に座る福太郎だったが、その膝にルーミアがちょこんっと小さな体躯を預けた。

ルーミア「ここに座っていいのかー。」

福太郎「座ってからきいとるしなー……まぁ、ええけど、暑うなったり足が痺れたら退(の)いてな」

すっきー『シビアっすね』

福太郎「んー、ほら、ルーミアは可愛いけど……それよりも自分の方が可愛いし」

すっきー『我が身が大事といい切っちゃったよ。この人……』
15/100ページ
スキ