第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「玉蜀黍食べる?」

福太郎「……いきなりやな」

悠「あ、ごめん、ごめん」

ぴんぽーん!

福太郎「いや、中に入ってから改めて呼び鈴押されても」

悠「まぁ、細かいことはいいじゃないか」

クロ「細かくねぇだろ。不法侵入だぞ」

悠「犬っころ、お前ちゃんと家事手伝いくらいはしてるのか」

クロ「誰が犬っころだ!!」

福太郎「そこそこは……しょーるな」

クロ「そこそこってなんだよ!しっかりしてるだろ!」

福太郎「っで、トーモロコシどないしたん?」

クロ「無視すんなっ!」

悠「当然おれがつくった。ただ、ちょっと早いのは早いんだよな。」

福太郎「というと?」

悠「ほら、大荒れだったから収穫を前倒したんだよ。そしたら、やーっぱサイズが少し小さめになっちゃってな味は問題ないけど」

福太郎「なら、ええやん。クロ、さっそく茹でで」

クロ「あたしがやんのかよっ!」

福太郎「とうぜんやん」

悠「だな」

クロ「ふんっ、寄越せ」

悠「やや口は悪いな」

福太郎「アレはもうオプションと思ったって」

悠「野良犬だったせいかねぇ」

ガンッ!

クロ「オオカミだ!!」

福太郎「……痛い?」

悠「おれもさ、色んな物ぶつけられてきたけどフライパンは初めてだ」

メリー「張り付いてる……」

悠「ミスター・フライマン!」

福太郎「余裕やね。」

すっきー『っというか、「ミスター」と「マン」って同じ意味じゃないっすか?』

福太郎「それは触れんといたげて」

悠「なにが?」

福太郎「なんでもあらへんよ」

悠「また、すっきーと内緒話か」

すっきー『内緒話じゃないけどこのひとその類には聡いっすね』

福太郎「まぁ、独りごとゆーよったら基本はすっきーと話しとるわけやし」

悠「じゃあ、おれはメリーちゃんで遊ぼう」

メリー「私「で」ってなによ!」

悠「文字どおりの意味でございます。とりあえず着せ替えから着せ替えまで」

メリー「どっちも同じじゃない!」

福太郎「でも、アツウなってきたし、夏服に着替えるンもええんとゃう?」 

悠「水着とか下着とか」

メリー「服じゃない!!」

悠「服だろ。ちなみに彼はフクタロ」

福太郎「フクタロウです」

メリー「それは知ってる……」

悠「さて、じゃあ、茶碗にお湯注いでメリーちゃん入れようか」

福太郎「目玉の人みたいやな」

メリー「意味が分からないしっ!!」

悠「じゃぁ、ちょっと雰囲気変えてペットボトル」

メリー「捕まえられた虫じゃない!!!」
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