第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

萃香「それにしても……ここが外の世界かぁ。変なものがいっぱいあんのね」

福太郎「やっぱめずらしいもんなん?」

萃香「そりゃやっぱねぇ。知らないところのものは珍しいさ。ところで、いいお酒なんかはあるかい?」

福太郎「昼間から飲むんはいかがなもんでしょーね」

萃香「うひゃひゃひゃ。昼間から飲むからいいんじゃないか」

福太郎「わぁー……駄目人間の発言や」

萃香「残念。あたしゃ鬼だ」

福太郎「角があるもんな。」

萃香「コイツをどうおもう?」

福太郎「凄く大きいです……って、こういうネタはわかるん?」

萃香「いや、意味は分かってないよ」

福太郎「んー……分かってなくてええんやけど、発信源は?」

萃香「紫」

福太郎「あの人やとおもたわ」

萃香「アレも人じゃないけどね」

福太郎「細かいことはええやないの」

萃香「だな、じゃあ、細かいこと抜きにして呑もうか」

福太郎「それとこれは別問題」

萃香「頼むよぉ。飲まないとダメなんだよぅ」

福太郎「飲まないというより飲んどるけん駄目なんやないの?」

萃香「なんだぁ、鬼に意見しょーってのかい」

福太郎「意見言うか……注意?」

萃香「何かアンタ……とっつきにくいしわりと厳しいね」

福太郎「大分ゆるい人間やと思いますよ?」

萃香「いやー、私が知ってる人間はもっとそういう部分はざっぱだよ?何かあると撃ちまくるけど」

福太郎「なにおいな……」

萃香「マスパ」

福太郎「ます……ぱ?」

萃香「どっかーんって来るんだよ。最近は野良マスパに注意しとかないと夜道でいきなり頭上はしってって角焦がしたりするし」

福太郎「……治るんそれ?」

萃香「ちょっとくらいなら折れても治るよ」

福太郎「へぇ、剥ぎ取られたら武器に加工されそうやな」

萃香「さらっと怖い事いうねアンタ」

福太郎「いや、冗談やで?」

萃香「まぁ……でも、今の世の中鬼退治しようなんて気合の入った奴は居ないねぇ。」

福太郎「退治されたいん?」

萃香「そういうわけじゃないさ……けど、鬼なんてものは人に退治される末路なのかねぇ」

福太郎「いや、知りませんけど……今の世の中、人間も鬼みたいなもんやで?」

萃香「おい。鬼は誇りある一族だぞ。侮辱すんな!!」

福太郎「そういうつもりでもなかったんやけど……なんや、ごめんね」

萃香「う~ん……いまいちお前は何か気合というか覇気がないよな。喰ってかかっても来ないし、かといって下手にも出て来ないし」

福太郎「普通の人間ですもん」

萃香「普通か。」

福太郎「普通です。」

萃香「そんじゃあ、普通に乾杯しようか」

福太郎「麦茶かジュースでなら」

萃香「お酒がいいのぉ!おーさーけーぇー!」

がくがくっ……
福太郎「あ、あの、揺らさんといて、めっちゃ頭グワングワンする……うっぷ」

萃香「あ、ごめん」

福太郎「ちぃちゃいのにエライ力やな……流石鬼……」
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