第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「んーーっっ……はぁ、昨日も寝苦しい夜やったなぁ」

萃香「ぉーい……」

福太郎「扇風機くらいは買わんといかんかなぁ」

萃香「おぉーい……」

福太郎「もしくは思い切ってエアコンを新調……」

萃香「おぉーい、そこの人間てばぁー。ちょっと鬼の話しを聞いてくれんかねぇ~」

福太郎「んー?」

萃香「ああ、返事が返ってきた……よかったよ。もしかしたら、あたしゃ広大な幻覚を見てるのかと思ったよ」

福太郎「おはようございます」

萃香「おはよう。ところで、ひとつ聞いていいかな?」

福太郎「はい、どうぞ。お答えできることやったら答えるよ」

萃香「ならさぁ……なんで、私は簀巻きにされてんのかなぁ。」

福太郎「いや、ホンマはベッドにねかせといたんやけど……転げ回って角は壁に刺さるわ。転げ落ちてもーちょいで俺の頭貫きかけるわで……しかたなーく。最終手段で簀巻きにして転がしといたんです」

萃香「そっかー。そいつは手間かけたね、きひゃひゃ」

福太郎「いえいえ、それほどでも……にしても、なんちゅー笑い方や。」

萃香「それじゃあ、もう一ついいかな」

福太郎「なんですのん?」

萃香「誰だお前?」

福太郎「御堂福太郎言います」

萃香「福太郎か幸ありそうだけどバカにされそうな名前だな」

福太郎「いやいや、かなりのハードラック(悪運)ですよ。悪い意味での」

萃香「名前負けだな」

福太郎「まったくや。」

萃香「ちなみに、あたしは萃香だ。伊吹萃香」

福太郎「ええ、昨晩ソレは聞きました。俺からも質問してええですか?」

萃香「おう。なんだ?」

福太郎「なんで来はったん?」

萃香「来たってなんだ?」

福太郎「えーと、ここは幻想卿やなくて……かくかくしかじか」

萃香「まるまるウマウマ……なるほどー、霊夢といっしょに飲んでた所までは覚えてるんだけど……ここに来た覚えはまったくないっ!」

福太郎「まぁ、アレだけよっとったらしゃーないわな」

萃香「酔ってねーよ!あたしは、生まれてこのかた酔ったことがないんだよ!!」

福太郎「いやいや、んな無茶な。おもっいっきり記憶飛んでますゃん」

萃香「それはアレだ。昔から定期的に消えるんだよ」

福太郎「それは危ない病気やで……」

萃香「それよりさぁ……いいかげん解いてくんない?暑くて蒸し蒸しして気持ち悪いんだけど」

福太郎「んー……解いたら暴れたりせーへん?」

萃香「しないよぉ。」

福太郎「角の射程を把握できずにぶつかりまわらんといてな。」

ほどきほどき……

萃香「ふいー、危うく蒸発するところだった」

福太郎「水?」

萃香「鬼だよ」

福太郎「はぁ……。」

萃香「まぁ、夜中にならなきゃ帰れないんだし、よろしく頼むよ」

福太郎「んー……そうなってまうよね。朝ご飯にしましょか」
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