第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー三日月ー

凛「いらっしゃい、あら。」

悠「どもっす。二人いけますか?」

凛「ええ、カウンターとテーブルどっちがいいかしら」

悠「じゃあ、テーブルで」

凛「じゃあ、奥へどうぞ」

福太郎「へー……」

悠「どうした?」

福太郎「いや、ええ感じのお店やなぁおもて」

悠「だろう。」

凛「ありがとうございます。おしぼりどうぞ」

福太郎「おおきに」

悠「とりあえずビール二つとなんか軽めのものお願いします」

凛「はい、分かりました」

福太郎「そんで……ここ?」

悠「ここ」

福太郎「んー……敷居高ない?」

悠「店としては高くはないが……働くとしたらしつかりしてもらわないと困るなおれの顔に泥を塗られたくないし」

福太郎「んんー……なかなかハードやな」

恵瑠「前から失礼しまーす。ビールとグラスです」

福太郎「ども……あれ?」

恵瑠「はい?」

福太郎「間違ごうとったら堪忍やけど……カエルちゃん?」

悠「うわ……正解。」

恵瑠「うわってなんですかっ!うわって!」

凛「こ~ら、ちゃんとお仕事してね」

恵瑠「はーい。」

凛「失礼しました。三色豆腐です。右から、ゴマ、ズンダ、おぼろ。お好みで薬味をお使いください。」

福太郎「これはええな、涼やかで……っと、なに、アイドルがバイト?」

悠「バイトっぽいよ。」

福太郎「ほんなら…手は足り取るんとちゃうん?」

悠「それなんだが……キリンさん」

凛「はい?」

悠「前に話したバイトの件なんですけど」

凛「あぁ、うちはねお昼には定食屋もしているんだけど。このところ少し忙しくてね。お昼のお手伝いと夜にかけての仕込み何かを手伝って欲しいの。もちろん、夜に入ってもらえても助かるけど……。」

悠「ということだ」

福太郎「なるほど……んーー……めっちゃ荷重いゃん」

悠「だよなぁ」

凛「荷が重い?」

悠「あ、いや……最初はここにいる福ちゃんこと福ちゃんを紹介するつもりだったんですけどね」

福太郎「まず、俺の紹介から失敗してますゃん。御堂福太郎いいます。よろしゅう」

凛「あ、はい。希凛です。」

悠「希望の「希」に凛々しいの「凛」でそのまま読んで「キリン」さん」

福太郎「無理くりやね」

悠「クリオネ?」

福太郎「あれ頭パカーひらいて捕食するのにどこが氷海の天使やねん」

悠「この通り面白い男なんです」

凛「本当ね」

福太郎「おおきに……っで、話しは戻るけど」

悠「この通り、脱線した話しを戻すスキルも一流でして……」

福太郎「あ、すんません。タンドリーチキンひとつ」

悠「悪かったから注文で無視しないで、あとおれにも注文させて……揚げだし豆腐と冷やっこの納豆がけ」

福太郎「大豆マニアか」

悠「じゃあ、冷やしトマトも」

福太郎「ベジタリアンか」

悠「大豆は畑の肉」

福太郎「ほな、ダイズニアンやね」

凛「うふふっ。」

悠「キリンさんも笑いのハードルが低いから楽しいな」

福太郎「なんやもう何しに来たんか分からんようなってきたな」
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