第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ただいま」

クロ「また長かったな」

福太郎「色々とあってな」

お仙『身体がしびしびしてル。』

メリー「なんかあったの?」

リュカ「色々とあったの」

福太郎「色々あったんよ」

クロ「ああ、説明するのがめんどくさいんだなお前ら」

「「はい」」

クロ「はい、じゃねぇよ。」

すっきー『ラムさんはどうしたんすか?』

福太郎「新しい道具が手に入って色々と試したいってことでうちに寄らず帰ったで。」

お仙『私の身体を好き放題してナ』

クロ「うるせぇよ!」

福太郎「ところで、ひとつええかな?」

クロ「なんだよ。」

福太郎「こんなもんをもらってきたんやけど」
スッ

クロ「なんだそれ、写真?」

福太郎「心霊写真」

クロ「何もらってきてんだよ。」

すっきー『というか、何も変なもの写ってないことないっすか?普通の物置?っぽい場所の写真みたいっすけど』

福太郎「そうなんよな」

クロ「どういうことだよ」

福太郎「いや、ここに幽霊みたいなんかうつっとったらしいんやけど消えたそうや」

クロ「消えたって……」

お仙『つまりこれは心霊が出ていった心霊写真なのダ!』

クロ「いや、心霊っぽいものが居なくなったんならただの写真だろ……。なんでもらってきた?」

福太郎「いや、なんとなく」

クロ「なんとなくで妙なもんをもらってくんな!」

福太郎「はははっ」

クロ「なに笑ってんだ」

福太郎「いや、ちょっと気になってな。この写真には心霊が入っとった、そんで今は出ていった。つまりこの写真には空きがあるんちゃうかと思って。」

クロ「空き?」

福太郎「つまり、この中に幽霊をしまい込めんかなってこと。」

クロ「……封印するってことか?」

福太郎「いや、出れたってことは出入りは自由なんやろ。まぁ、札でも張ったら別やろけど」

クロ「話がぜんぜん見えねぇんだけど。」

福太郎「つまりぃ……すっきー、こんなか入れん?」

すっきー『わ、私っすか?!』

福太郎「こン中で幽霊属性ってすっきーやん?」

すっきー『そうっすけど……えー、なんかコワイんですけど……。』

クロ「幽霊がビビるなよ」

すっきー『幽霊だからこそ自分より得体の知れないものが怖いんじゃないっすか』

福太郎「なるほどなぁー」

お仙『ほい、ドーン』
ドンッ
すっきー『きゃーっ!』
スポッ!

福太郎「おー、入った入った。」

クロ「いや、入ったじゃねぇよ。お前も押すんじゃねぇよ!」
ベシッ
お仙『こういうのは勢いが大事だゼ!』

すっきー『もー、ビックリしたじゃないっすか!』
ヌッ

福太郎「んっ、出入りも自由やな。」

すっきー『出られなかったらどうしてたんすか!!』

福太郎「まぁまぁ、これですっきーも出かけられるやろ。」

すっきー『え?』

リュカ「ああ、そうか。部屋から出られないけど、写真に入ってたら持ち運べるもんね。」

お仙『それでもらってきたのカ。あや、分かってたけどナ』

クロ「お前はもうほんと黙ってろよ」

すっきー『福さん…ありがとうございますっす!!』

福太郎「んっ、ええんやで」
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