第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー妖怪園:研究室ー

古井戸「ここだよ。」

福太郎「おじゃまします。」

お仙『……ン?』
グッグッ

リュカ「なにパントマイムしてんの?」

お仙『入れヌ!』

ラム「結界でも張ってあるんじゃない?」

眼鏡の女性「おや、どうかされましたか?」

古井戸「ああ、ちょうどよかった……んだけど、その前になんかしてる?キョンシーの子が入れないみたいなんだけど。」

眼鏡の女性「ああ、失礼しました。ちょっと待ってください。」

お仙『うおおおーッ!うおおぉぉーッ!』
ゴッゴッ!

福太郎「無理くり突破しそう」

ラム「いや、止めなさいっていうか、お前も無茶をするなっ!」

眼鏡の女性「あの、解きますよ?」

パッ
お仙『ぬおワ!』
ズドッシャー!

リュカ「やると思った。」

眼鏡の女性「すごい賑やかですね。」

福太郎「申し訳ない。」

眼鏡の女性「いえいえ、大丈夫ですよ。さっ、こちらにどうぞ。といっても、来賓用のいすなどは無く普通のスツールですが好きにかけてください。」

福太郎「ほな、遠慮なく」

古井戸「コホン、ええと、彼女がここの研究室の責任者兼図書館の司書をしている文車妖妃の間神栞(あいがみしおり)さん。文車妖妃は恋文から生まれる怪異だけど、彼女は古書から産まれた怪異。」

栞「よろしく。」

古井戸「それで、こちらが人間の福太郎さん、キョンシーのお仙さん、サボテンのリュカさん」

お仙『コロポックルのラム!』

ラム「……」
ビタッ!ビタビタビタビタッ!
お仙『……』

リュカ「これでもかってぐらい札まみれ。」

ラム「どうぞ、話し進めて」

古井戸「えーと……。」

栞「なんでも、私のために絵をいただけると」

福太郎「んっ、というても、ホンマに素人が描いた風景画なんやけど……お仙は停止中やから、リュカ」

リュカ「ほい」
ドササッ

栞「まぁ、こんなにたくさん。よろしいのですか?」

福太郎「ええ、全然かまわんのですけど……お腹とか壊しません?」

栞「大丈夫です。雑なことを言えば私は紙さえあれば生きられるので。」

福太郎「そうなん?」

栞「はい、ただ好みとしては書物などの方が好きという事です。それでは、遠慮なくいただきますね。」

リュカ「どんな風に食べの?」

栞「バリバリバリバリ」

福太郎「おー……ガッツリいったなぁ。」

リュカ「これが「オレサマ オマエ マルカジリ」ですか」

累「もぐもぐ……あ、これは……すいません、もう一枚いただきますね。バリバリ、ガリガリ」

リュカ「シュレッダーにかけてるみたい」

福太郎「気にいってもらえたようでよかったですわ。」
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