第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー大型車内ー

ラム「先生、紹介するわ。私のツレの福太郎とキョンシーのお仙よ。」

福太郎「御堂福太郎です。何事かわからずいます。」

お仙『好きなものはトマトジュース!私ダ!』

先生と呼ばれた男「ああ、彼が噂の…」

福太郎「虫の噂?」

先生と呼ばれた男「え?」

福太郎「え?」

ラム「話を前に進めて」

古井戸「ああ、自分は古井戸豪人(ふるいどごうと)、怪異専門の医者をしているものだ。」

福太郎「妖怪のお医者さん?」

古井戸「一応、表では獣医をやってる。それと医師免許も持ってる。」

お仙『あれ、それってすごくネ?』

ラム「そこまで腕はよくないから凄くはないわ」

古井戸「そんなバッサリと……いや、事実なんだけどな。」

福太郎「事実なんや」

古井戸「これでも超がつく凄腕の先生の元で勉強してきたんだけどなぁ…。まぁ、そんなことは置いといて、今回捕獲したい怪異が居て集まってもらったんだ。」

福太郎「もしかして透明人間?」

ラム「透明人間?」

福太郎「ここ最近噂になっとるんですよ。ここの公園で声かけられたり、肩を叩かれたりするけど振り返ってもだれもおらんて」

ラム「そんな噂になってたのね……」

お仙『私たちもそれを探そうとして代わりに緑の妖精を捕まえたゾ』

ラム「何がどうしてそうなった…。」

古井戸「妖精!?それは珍しいな!!」

福太郎「その緑の妖精さんの優秀な息子さんにも合わせてもらえたで。」

ラム「なにが優秀なの?」

福太郎「全身緑、口の中も目も」

ラム「ざ、斬新ね。」

古井戸「なかなかうらやましいな。妖精なんてこの仕事についてからも一度も見たことない。」

ラム「コイツは奇運というか妙な運があるのよ。メリーさん隙間女とも知り合いよ」

蔵人「怪異を寄せ付ける体質なんだろうか……。うーむ、興味深い。こんど少しか身体を調べさせてくれないか?」

福太郎「んー……」

ラム「あのさ、そういうの後にしてくれない?」

古井戸「失礼。捕獲したい怪異は透明人間ではなく……氷柱女だ。」

お仙『ツララララァ!』

福太郎「氷柱女?」

プロメ(仮)【つらら女は、日本に伝わる民話。人間の女になったつららの物語で、雪女と混同される場合が多いです。】

古井戸「今のは?!」

福太郎「ハイテクな人工AIのプロメちゃんです。それより氷柱女て……透明なん?」

ラム「透明ではないのだけど見えなくなってるのよ。」
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