第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋界隈:運動公園ー

お仙『すずしー……くもないナ。』

福太郎「まぁ、風ないしな。」

お仙『……』

福太郎「……」

お仙『…………』

福太郎「…………」

お仙『よし、帰ろウ!』

福太郎「五分もたってませんけど?」

お仙『なんにも起こらないじゃないカ!』

福太郎「せやから五分もたってませんもん」

お仙『私はバーンでズォーでドゴッでグチャー!って感じにシンプルな方がいいんダ。』

福太郎「前半はなんとなくわかるけど後半確実にスプラッタ起きとるよな」

お仙『フクタローは得意だロ?』

福太郎「慣れてはきとるけど得意って訳ではないんよなぁ。」

お仙『なんにしても流石にヒマダ。』

福太郎「せやなぁ。あんまり帰り遅うなったら皆も心配するやろし。一回りしたら帰ろか」

お仙『おーウ』

~ひと回り中~

福太郎「見事に蚊に刺されただけやったな」

お仙『私は刺されてないゾ』

福太郎「刺されとったとしてもかゆみ感じんのちゃう?」

お仙『確かニ!』

「…」

福太郎「ん?」

お仙『どしタ?』

福太郎「なんか……聞こえたような?」

お仙『ンー?』

「…」

福太郎「ほら」

お仙『虫の鳴き声じゃないカ?』

福太郎「んー……そっかな?」

「…」
コッ!
福太郎「ん?なんや?」

お仙『今度はどうしタ?』

福太郎「つま先になんや微妙な感じが……」

緑色の小人「……」

福太郎「……お仙、どないしょ、小人の幻覚が見えてもた。俺の靴の上で飛び跳ねとる……。」

緑色の小人「います。」

お仙『うおぉッ!小人ゲットダー!』
ガシッ!
緑色の小人「きゃーーっ!」

お仙『……勢いで捕まえたけどどうすル?』

福太郎「捕まえたってことは実在しとる?」

お仙『してるゾ』

緑色の小人「ひえぇ、助けて、助けて!」

福太郎「声ちっさいけど、助けていうとるよな?お仙、俺の手にそっと置いて」

お仙『ほイ』
パッ
ポトッ
緑色の小人「はぁはぁ」

福太郎「んー、えーと……なんかすんまへん。」

緑色の小人「い、いえ、こちらこそ突然スイマセン。あの、フクタロウさんですよね?」

福太郎「え、あっ、はい。なんで俺の名前を?」

緑色の小人「この辺りでは有名ですよ。虫たちからお名前はよくうかがっています。」

福太郎「虫から…」

お仙『虫と知り合いがいるのカ?』

福太郎「流石におらんなぁ。」
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