第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋界隈:コンビニー

福太郎「ん?」

ラム「あら」

お仙『お嬢ちゃん、こんな時間に出歩いたらダメだヨ』

ラム「……」
スパァン!
お仙『い゛』

ラム「奇遇ね。こんな夜中に買い物?」

福太郎「ちぃと目が冴えて軽ぅに散歩でついでにコンビニ寄ったところですわ。ラムさんは?」

ラム「仕事の帰り。」

福太郎「んっ、せやからノータイムで札が飛んだんやね」

お仙『……』

ラム「出歩くのはいいけど夜中にキョンシーを連れ歩くのは感心しないんだけど。」

福太郎「せやけど、キョンシーって夜行性ですやん?」

ラム「日中に平然と行動するキョンシーが出現したらそれはそれで困るわよ。」

福太郎「お仙はわりと平然と出歩くけどなぁ?」

お仙『……』

福太郎「……」
ピッ
お仙『ハッ、記憶が飛んでル!これは催眠おじさんに変なことをされたのかもしれなイ!』

ラム「なにいってんだこいつ」

福太郎「あんまり気にせんといてください」

お仙『なあ、アレなんダ。』

ラム「なにが。」

お仙『ほら、アレ、レジのとこロ』

「「ん?」」

白装束の女『……』

店員「あ……えっと、ワンコイン弁当500円になります。」

白装束の女『……』
スッ

店員「ん?なんだこれ?お客さん……あれ?いない?え、、あの、今いましたよね?女の人」

福太郎「んっ、居りましたよ。」

店員「弱っちゃったなぁ。こんま置いていって…」

ラム「あれ、ちょっといいかしら?」

福太郎「一文銭やな」

店員「いちもん?」

お仙『葬式の時、棺にいれる金ダ。三途の川の渡し賃』

店員「じゃあさっきの女の人コスプレとかじゃなくて……うわぁっ!」

福太郎「まぁ、正確にいうたらこれは寛永通宝やけどね。んー、店員さん、500円俺が出すんでこれ、もらってええかな?」

店員「い、いいですけど、っていうか、さっきのは……」

ラム「幽霊でしょうね。」

店員「ひえぇぇっ!」

福太郎「せやけど、まるで子育て幽霊みたいやな」

店員「こ、こそだてゆゆゆうれぃ?」

福太郎「プロメちゃん」

プロメ(仮)【子育て幽霊、全国に伝承のある話で死んだ女性が棺の中で出産し赤ん坊のために1文銭をもって飴を買いに来るという話です。飴かい幽霊ともいわれています。】

店員「じゃ、じゃあ、どこかに赤ん坊が?」

ラム「今時死体をそのまま棺に入れて埋葬したりしないし赤ん坊はお弁当を食べないでしょ。まぁ、害はないし平気でしょ。」

店員「へ、平気じゃないですよ!!」
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