第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

コンコン、コンコン

福太郎「ん、はいはい?」

『夜分に失礼いたします。薬売りでございます。』

福太郎「薬売り……さん?」

『こちらに人間さんが住まわれたと聞いて足を運んだのですが……あなたが?』

福太郎「んっ、俺は人間やけど、その言い方からしたら……」

美人な蛙『はい、わたくし、ガマの妖怪でございます。』

福太郎「ガマってことは……ガマ仙人いや、仙女?」

ガマ婦人『いえいえ、私は仙女というほどのものでは……しいていうなら、ガマ婦人でしょうか』

福太郎「お蝶婦人みたいやね。」

ガマ婦人『ケロケロケロッ』

クロ「おい、どした?」

福太郎「んっ、なんや薬売りのガマさんが」

ガマ婦人『夜分にどうもです』

クロ「おっ、おう。」

お仙『おっ、カエルやウシガエルヤ!』

福太郎「ガマ」

ガマ婦人『ああ、私「元」はウシガエルなんですよ』

お仙『マジかヨ!』

福太郎「んっ、確信があっていうたわけではないんやね。」

お仙『でへへ』

クロ「あ、殴りたい」

福太郎「まぁ、中どうぞ」

ガマ婦人『お邪魔します。』

メリー「カッパ脱がないの?」

福太郎「というか、雨ふっとりましたか?」

ガマ婦人『これは保湿のために着ているんですよ。今の時期は乾いちゃいますからね。』

福太郎「んー、なるほど!」

クロ「めっちゃ食いついてる」

リュカ「水ならいくらでもあるぞー」
どぼぼぼ
ガマ婦人『……』

クロ「うぉいっ!」

ガマ婦人『あぁ~潤うわぁ』

福太郎「頭からのぶっかけOkらしいわ」

クロ「ああそう……」

お仙『……』
カシャ!

クロ「おい、いま何撮った」

お仙『ガマ婦人の悦顔』

クロ「消せ!」

メリー「それでカエルの……お姉さん?」

ガマ婦人『あら、やぁよぉー。こんなおばちゃんにお姉さんだなんてゲロロゲロロッ』

福太郎「あれ、喜びの鳴き声?笑い声?」

クロ「さ、さぁ……とりあえず謎の迫力があるな」

お仙『……』
ジーーー

クロ「だから何してる」

お仙『カエル夫人の笑いをムービーで収めてル』

リュカ「YouTubeに投稿しよう」

クロ「や・め・ろっ!」

福太郎「すんません、騒がしいて」

ガマ婦人『いいのよぉ。私のところも子だくさんだから騒がしいの大好きよ』

福太郎「これ聞いてええんかな……。やっぱり卵で産むんですか?」

ガマ婦人『もちろん』

福太郎「おおっ……卵ひとつがボーリング玉くらいありそや」
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