ｰ福太郎の部屋ｰ

形部『では、失礼する。』

福太郎「んっ、どうもでした。」

お仙『外にあれだけいた犬が一瞬でいなくなってル』

福太郎「ふー……なんや緊張して疲れたわ」

クロ「その割にはずいぶんと軽かったけどな」

福太郎「んっ、そう?」

クロ「……形部さまも怒ってなかったからいいんだけどな。」

お仙『あの尻尾を振り回したかっタ』

クロ「テメーを振り回してやろうか!!」

お仙『振り回されたい女と振り回したい女ってことかナ?』

クロ「表出ろ、土に還してやる!!」

福太郎「まーまー」

メリー「それはいいんだけど、少し換気しない?」

福太郎「どして?」

メリー「なんか獣臭い」

クロ「お前なぁ!!」

メリー「クロのこと言ってるんじゃないよ?」

クロ「だとしても!!」

福太郎「まぁ、神さん相手に獣臭いはアカンかな。せめて……動物園な香り?」

クロ「ある意味、悪化してんじゃねぇか!」

すっきー『でも、アレだけの妖獣に囲まれて暮らしてて本人も毛むくじゃらですからね。多少はワイルドな臭いにもなるっすよ。』

クロ「毛むくじゃらっていうんじゃない!!」

リュカ「……」

福太郎「リュカどうかした?」

リュカ「窓の外」

お仙『ン?』

烏『……』
烏『……』
烏『……』

福太郎「うおっ、なんや烏がめっちゃベランダにとまっとる」

メリー「いつから?」

リュカ「さぁ、今気づいたから。」

烏『カー!』
バサササッ!

福太郎「んで、一斉に飛び立った……なんやろ」

クロ「……まさか、今の」

お仙『心当たりガ?』

クロ「天狗の監視役じゃないかな…」

福太郎「……あり得るな形部さんが犬や妖獣を眷属にしとるんなら、天狗が烏を眷属にしててもおかしないし」

クロ「大丈夫だろうか…形部さま」

すっきー『悪いことしてたりしたわけじゃないっすから、大丈夫っすよ』

クロ「すっきー…」

すっきー『はい』

クロ「お前が言うと余計心配になる。」

すっきー『なんでっすか?!』

福太郎「まぁ、すっきーやし」

メリー「すっきーだしね」

お仙『しゃーないしゃーなイ』

すっきー『ちょっとー!!』

リュカ「ドンマイ」

福太郎「んー……まぁ、なんにしても今は現状が把握できとるわけやないし、もうちょっと様子見といたらええんとちゃうかに」

クロ「それしかできることねぇしな」