ｰ福太郎の部屋ｰ

形部『……』

福太郎「お茶でええですか?」

形部『構わんでくだされ。』

お仙『クロより立派な尻尾ダ』

クロ「絶対に掴むなよ。絶対に」

お仙『わかった……と見せかけてゲットー!』
バッ
クロ「わかってたわボケェ!」
ゴンッ!

福太郎「騒がしいてすんません」

形部『いや、騒がしいのは慣れている。』

メリー「それで犬のおじさんはなにしにきたの?」

クロ「うぉぃっ!」

形部『構わんよ。それで本題だが此度は人面犬が迷惑をかけた。』

福太郎「人面犬……ああ、そのことで」

形部『うむ。我らの身内からこのような痴れ者が出たことは誠に遺憾で……』

福太郎「まぁまぁまぁまぁ、そんな頭下げんといてください。」

クロ「あの人面犬、形部さまの身内のものなのですか?」

形部『うーむ、親しいほどではないが、ここらの同族妖魔は我の庇護下にあるものが多い。特に人間界に溶け込まずいるものは特に。だが、その中でもやはりはぐれものはいる。』

福太郎「それがあの人面犬やったと?」

形部『例の人面犬の父は普通の人面犬だったのだが、あの若い人面犬は人間から身を隠したりおびえたりする必要はないといっていたらしくてな。』

お仙『若さゆえの過チ。』

形部『しかもそれに賛同した者たちがいる始末……まことに情けない。』

クロ「心中お察しします」

形部『襲われた福太郎どのに怪我がなくてよかったものだ。』

福太郎「まぁ、俺が正確に襲われたんはケルベロスっぽい子だけやからね。」

お仙『今はあやかし屋で飼われてるシ』

福太郎「アレはよかったんです?」

形部『それはそれで生き場所がみつかってよいことだ。』

福太郎「なるほど」

リュカ「犬頭のアレは帰ってきました?」

形部『ああ、帰ってきたよ、何があったのかは知らないが変化が解けて犬に戻ってしまっていたがね。』

リュカ「ははははっ」

クロ「笑うな」

形部『なんにしても、本当に迷惑を……』

福太郎「んっ、せやけど、謝るいうんやったらおれよりリュカに謝ってもらえます?」

リュカ「にょ?」

福太郎「無事でしたけど頭食いちぎられたって話ですし。」

形部『うむ、リュカ殿、まことに申し訳なかった。』

リュカ「構わんよ!」

クロ「お前なぁ……」

メリー「それで人面犬はどうなったの?」

形部『今、こちらで探している。捕獲も時間の問題だろう。』