第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ふー、なんやかんやで冷えるなぁ。」

クロ「風が吹いてるんだよな」

お仙『この風、少し泣いてまス』

クロ「なにいってんだ」

コンコンッ

メリー「誰かノックしてる」

福太郎「はいはい?」

クロ「悠だったら締め出せよ」

福太郎「無理無理。」
ガチャ
狩衣姿の犬男『失礼』

パタン!

福太郎「……」

クロ「どした?」

福太郎「なんかガチの方が……」

クロ「は?」

コンコンッ、コンコンッ

福太郎「はい」
ガチャ

狩衣姿の犬男『いきなり訪ねて来てすまぬ。驚かれ申したろうが少し話を聞いていただけぬか?』

福太郎「あっ、はい……なんでしょう」

刑部『拙は犬神刑部(いぬがみぎょうぶ)と申す。そちらは御堂福太郎殿で間違いないか?』

福太郎「はい、福太郎でございます。」

刑部『こたびは、大変ご迷惑をおかけもうした!!』
バッ!

福太郎「えー……ちょっ、えぇ……とりあえず、土下座はやめましょ。ねっ?うわ、固いっ!重っ!力強い?!」
ググッ

クロ「…………」

お仙『なんだなんダ?』

リュカ「なんかスゴイよコレ」

メリー「ご主人様、ちょっと外みて」

福太郎「外?」

言われるままに外を見ると大小様々な犬が夢見長屋を囲んでいる。中には明らかに犬ではなく魔獣のようなものもいる。

クロ「ぎ、形部さま?!いったいなにを!!」

福太郎「クロ知り合い?」

クロ「知り合いとかじゃ無くて、私ら犬神界の頂点の方だよ!」

お仙『つまり、クロ上司?』

クロ「間違いではないけど失礼な言い方すんな!!」

形部『ぬ?そちは?』

クロ「はっ、流れの犬神、クロにございます。」

お仙『身体は死んでも心はびんびん!キョンシーのお仙ダ!!』

リュカ「性別不明系光合成植物妖怪リュカ!」

メリー「電話で背後に回る!都市伝説メジャーのメリー!」

すっきー『隙間妖…』

クロ「てめぇら黙ってろ!!」

すっきー『しくしく…』

福太郎「とりあえず、中どうぞ。ちゃんと話は聞かせて貰うんで」

形部『う、うむ、失礼する。』

福太郎「リュカはお茶、メリーちゃんとお仙は部屋案内して」

「「『はーい(イ)』」」

クロ「……」

福太郎「クロ、平気?」

クロ「平気だけど、心臓と胃が痛い……」

福太郎「少し出とく?」

クロ「いや、アイツらから目を話す方が怖い」
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