ｰ真神堂ｰ

福太郎「まいどぉ」

まーさん「……あぁ」

栞「いらっしゃい」

福太郎「ちーと、探しょる本があんねんけど」

まーさん「……そうか。なら、探せ」

福太郎「調べてはくれへんのね」

まーさん「……ふっー見て分からんか?」

福太郎「んんっ?」

まーさん「……ふっーー、一服中だ」

福太郎「んっ、さよか」

栞「なんなら私が探そう」

福太郎「ええのん?」

栞「フクタローはジョーレンキャクだからな。なんの本だ」

福太郎「ユーマとか未確認生物関連のもん」

栞「そんなものあったかな…」

まーさん「……図鑑の棚を見て来い。そこにあったはずだ」

栞「わかった」

まーさん「……妙なものを買いに来るよなお前は」

福太郎「興味があるもんを買いにきとるだけやで」

まーさん「……興味があるか」

福太郎「まーさんはユーマとか興味なし?」

まーさん「……あまりないな。この歳だ今さら驚くことも少ない」

福太郎「そういうもんかな。」

まーさん「……だが、まぁ、妖怪というものには少々興味がある」

福太郎「あ、そなんや」

栞「見つけて来たぞ」

ドザザッ……
福太郎「多ッ?!」

栞「持ってこれるだけ持ってきた。」

まーさん「……全部で五万でいいぞ」

福太郎「えぇ?!」

まーさん「……なんだ?」

福太郎「俺非力やから全部は持って帰れんわ」

まーさん「……栞に運ばせよう」

栞「任せろ。お安い御用だ」

福太郎「すんません、五万も持ってないです。勘忍してください」

まーさん「……冗談だ。好きなのを選んで買って行け」

福太郎「おおきに……しっかし多いな」

栞「これなんてどうだ。馬づくし」

福太郎「へー、馬の本かぁ。って、ユーマと関係ないゃん」

栞「……ジジ殿「ゆうま」とは馬のことではないのか?」

まーさん「……「ゆうま」ではなく「ユーマ」だ。Unidentified Mysterious Animal、頭文字をとってUMAだ。」

栞「そうか。フクタロー間違いだ。その本の大半は馬の図鑑だ」

福太郎「馬専門の図鑑がこんだけあるンもビックリや」

まーさん「……なら買って行け」

福太郎「馬主になったら考えるわ」

まーさん「……一生縁がなさそうだな」

福太郎「せやね」

栞「これとこれとこれは……そういう類の本だ」

福太郎「じゃあ、この三冊もろてくわ」

まーさん「……千五百円だ」

福太郎「んっ、けどさ、前から思てたんやけど……値段適当に決めとるやろ?」

まーさん「……そんなことはない。人を見て決めている」

福太郎「それ、いっちゃんアカン奴やん」

まーさん「……くっくく。」

福太郎「ま、ええか。ほな、また来ます」

栞「まいどあり」

きぃ……

福太郎「あ、どうぞ」

水仙「あぁ、どうもさね。三尺、頼んでた本、入ったかい?」

まーさん「……あぁ、結構年季が入っているがな」