第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋前ー

福太郎「さむっ」

クロ「とっとと部屋で温まりたい」

お仙『ポッ///』

クロ「意味が分からねぇから頬を赤らめてんじゃねぇ!!」

福太郎「メリーちゃんとリュカつれて2.3時間ぐらい時間潰してこよか?」

クロ「妙にリアルな時間を提示すんな。あと、ぶっ飛ばすぞ!」

お仙『あ、犬』

クロ「誰がいぬだっ!」

福太郎「そーやなーて、ほら、野良犬や」

野良犬『……』

クロ「なんだ……そうか。」

お仙『食ウ?』

福太郎「飼うって言われても困るけど、まさか食うってくるとは思わんかったわ。食べへんけど」

人面犬『ほっといてくれよ…』

お仙『あれ人面犬じゃネ?』

福太郎「気のせいやろ」

クロ「いいから帰ろうぜ」

人面犬『え?』

福太郎「今日の夕飯はおでんにしよか」

クロ「いいな」

お仙『じゃがいも、たまねぎ、にんじン!』

クロ「それはカレーだ」

人面犬『ちょ、ちょっと待てよぉー』

福太郎「はい?」

人面犬『いや、はい?じゃなくてよぉ。なんかあるだろ』
ダダダッ

福太郎「なんか……んー、なんかある?」

クロ「ねぇな」

お仙『もっとおっさん顔かと思ったらソコソコ青年顔で逆にキショクワルイ』

福太郎「こら、アカンやろ。」

人面犬『……』

福太郎「ほなら、さいなら」

人面犬『待てよ!そうじゃねーよ!!』
ダダダッ

お仙『さすが犬だナ。先回りしてくル。』

クロ「うっとおしいな…」

福太郎「なにか?」

人面犬『何かじゃなくて人面犬だぞ?都市伝説の!』

福太郎「知っとりますよ」

人面犬『もっとなんかあるだろ』

福太郎「いや……特には」

人面犬『えぇ…』

クロ「っていうか、ほっといてくれっていったよな?」

人面犬『いったけどさぁ。普通もっとなんかあるじゃん?』

クロ「ねぇし、急にフレンドリーに話すな」

福太郎「まぁまぁ」

人面犬『わっからねぇわ……。都市伝説界のレジェンドだぞ?』

お仙『っていっても、特に何かスゴイとかっていうのないじゃン。』

人面犬『……』

福太郎「ツッコんだらアカン所やったみたいやで。」

お仙『マジかァ』

人面犬『お』

クロ「あ?」

人面犬『覚えてろよぉー!』
ダダッ

福太郎「えー……捨て台詞吐かれたんやけど」

クロ「いいからもう帰ろうぜ」
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