第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋:周辺ー

福太郎「秋晴れやなぁ」

クロ「いや、夏日だろこれ。」

お仙『うぉぉぉっ、太陽が滲みるぜェ』

リュカ「まったくだぜぇ。」

クロ「お前らは溶けるか枯れるかするぞ」

福太郎「太陽光の下、元気に跳ねまわるキョンシーと植物系妖怪……あれ、元サボテンやったら太陽で普通元気にならん?」

リュカ「私はサボテン系妖怪だけどF.Fぐらい水が重要なのだ。」

福太郎「フーファイターズはミジンコやからね。」

クロ「何の話だよ」

「「ジョジョの奇妙な冒険第六部ストーンオーシャンの話」」

クロ「……」

お仙『どしたクロー、トイレ?電柱とかにかけちゃダメだゾ』

クロ「ちげーよ!ぶっ殺すぞ!」

福太郎「もう死んどるけど、ねっ?」
ドサッ

クロ「あ?」

福太郎「あ、あれ?」

お仙『どした、金でも落ちてて飛び込んだのカ?』

福太郎「い、いや、そーやなーて……」

リュカ「根っこ生えた?」

クロ「お前と一緒にするなよ。っていうか、こけたのか?何もないところで」

福太郎「ちゃうねん。動けんのよ。」

「「『はっ(ハッ)?』」」

福太郎「なんやめっちゃお腹すいて……だるうて……身体が動かんのよ」

クロ「腹減ったって……さっき飯食ったばっかりだろ。」

リュカ「私は喉乾いたわぁー、ゴクッゴクッゴクッ!」

お仙『よっ、いい飲みっぷリ!』

クロ「……起きれないのか?」

福太郎「いや、まったく……手足に力が入らん」

お仙『引きずってク?』

福太郎「できれば優しくしてくれる方向で……」

ラム「何してんのアンタら?」

福太郎「その声はチンチ……ラムさん」

ラム「踏まれたいの?」

クロ「お前割と余裕あるだろ。」

福太郎「……」

ラム「それでなにこんなところで寝っ転がってるの」

お仙『なんか急にお腹が空いて動けなくなったらしイ』

ラム「急に?それってヒダル神の仕業じゃない?」

お仙『アダムとイヴ?』

リュカ「うだつの上がらない夫?」

クロ「ちょっとお前ら黙ってろ」

福太郎「ヒダルぅ神いうんはぁ……山登りしとるときとかにぃ……きゅうにくうふくになったりぃ……」

ラム「アンタは説明しなくていいから、ヒダル神っていうのは急に簡単に言えば空腹にしたり気分を悪くしたりする妖怪よ。なにか食べ物持ってない?ひと口でも食べればよくなるはずよ。」

クロ「もってないな。お前らは?」

お仙『無イ』

リュカ「水なら」

ラム「私も今なにももってないのよね……。」

福太郎「うぅっ、このままでは餓死してしまう……」

蛙『……』

福太郎「あ、か、カエル……」

ラム「やめなさい」

リュカ「あ、そうだこれじゃダメかな?サボテンの果肉」
ブチッ!

クロ「今何かえげつないものを見た気がする。」

お仙「指千切ったナ」

リュカ「大丈夫、すぐに生えるし、私から千切れたものは植物に戻る。」

ラム「……蛙とサボテン(妖怪)どっちがいい?」

福太郎「…………さ、サボテンで」

リュカ「はい」
グッ
福太郎「もぐっ……に゛がっ!」
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