第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー集合墓地:廃寺ー

福太郎「ばんわ」

ラム「ああ……来たわね。」

クロ「うわっ、なんかすっげぇことになってる。」

四方の壁は札だらけ、テーブルには黄色い布をかけて、壺、ローソク、札の束、赤い液体、卵、もち米、小さな旗、線香、剣、他にも小物が沢山……。

ラム「儀式の準備は済んでるから後は、そこの台に例の柱と水を置いて」

福太郎「あいあい。リュカ……リュカさん?」

クロ「あれ?」りの

外からリュカの声がする。

「ごめん、このなか入れないーー!」

ラム「ああ、ここは既に聖域……とまでは言わないけど浄化してあるから、ある程度の妖怪や霊体は入れないわよ。」

福太郎「ってことは……お仙も?」

ラム「お仙は私のお札を貼ったキョンシーだから平気よ」

お仙『柱と水持ってきたゾ』

「私は外で光合成しとくー」

福太郎「根張らんようになぁ」

お仙『……』

クロ「なんだよ」

お仙『クロはなんで平気なんダ?』

クロ「私は神族だぞ」

お仙『……犬?』

クロ「ぶっ飛ばす!」

ラム「この中で暴れないで!」

福太郎「そんで俺らにあと手伝えることは?」

ラム「成功を祈ってて」

リュカ「ささやき、いのり、えいしょう、ねんじろ!」

お仙『クロはげんきになっタ!』

クロ「なんでとなんだよ!」

福太郎「しかも、それ蘇生呪文やな」

お仙『灰にならないかヒヤヒヤすル』

リュカ「灰になってもワンチャンある」

福太郎「失敗したら完全にロストやけどな」

ラム「集中しろお前ら!!」

「「『はーい』」」

クロ「軽いんだよ…」

ラム「ったく、ブッブッ」

福太郎「……どう祈ったらええかな」

クロ「普通に祈ってていいだろ」

福太郎「普通に……なんまいだぶ、なんまいだぶ」

お仙『成仏しそうダ』

福太郎「成仏はマズいな。復活の儀式やのに」

クロ「お前らなぁ」

ラム「やかましいわ!!」

福太郎「サーセン」

お仙『いいよォー』

ラム「よくないっ!!」

クロ「たろうな」

【柱】
カタカタ、カタカタ

福太郎「おっ?」

ラム「あっ!」

ふざけて……祈っていると妖怪校舎の柱がだんだんとひとのような形に変わっていく。

福太郎「ラムさん、成功?」

ラム「分からない、私の術式というよりこれは……」

クロ「これは?」

ラム「あの柱が勝手に霊力を集めて……る?」

瞬間、柱が突然に発光した。その光は徐々に大きくなり爆発したかのように福太郎たちを包んだ。

『ありがとうございます』

光の中でそう聞こえた気がした。
気がつくと柱はなくなっていて儀式の祭壇だけが残っていた。

ラム「……どうやら、上手く言ったみたいね。」

福太郎「おおきにです!」

ラム「そのセリフはここを片付け終えてから聞くわ。」

福太郎「アッハイ」
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