第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ラム「こんばんわ」

福太郎「いらっしゃい」

ラム「で?」

福太郎「こっちです」

クロ「この水だ」

ラム「……」
ちゃぽっ

福太郎「どないです?」

ラム「水……ね。」

クロ「ああ、ただの水だ」

ラム「……紙と墨」

福太郎「はいっ。」
スッスッ

ラム「鶏の血……は、ないわね。」

福太郎「古いもんでええなら冷蔵庫にとってますけど」

ラム「マジ?」

福太郎「こんなこともあろうかと以前余ったもんをとっときました。」

ラム「……本当は新鮮なものがいいけど今は手持ちがないからそれでいいわ。」

福太郎「お仙」

お仙『アイサー』

福太郎「ほかは?」

ラム「コップと小皿を貸してもち米とかは手持ちのがあるから」

クロ「なんでも持ってるな」

ラム「ある程度のものはね。」

リュカ「植物性の何かは必要ないですか?」

ラム「今のところはないわ」

リュカ「……ごくっごくっ!」

メリー「やることがないからって水がぶ飲みしないの!」

福太郎「用意できました」

ラム「ありがと。……ふーーーっ。」
チャッ!バッ!ザッ!シャシャッ!

福太郎「……」
クロ「……」
お仙『……』
メリー「……」
リュカ「……」

ラム「…………ダメだわ。何も反応がない」

福太郎「あきませんか」

ラム「どうにかしてあげたいけど、どうにもできないわね。」

福太郎「ちなみに今のは?」

ラム「この水に霊魂を呼び戻せないか試してみたのよ。だけど駄目ね。呼び戻せない。」

福太郎「んー……」

コンコン、ピポポン!ピンポーン!ピンポンピポンピポン!コココン!

クロ「うるせぇっ!」
ガチャッ!
悠「よーす」
ダラッダラッ…

クロ「……」
パタン
悠「無言でドアを閉めるな!!」

クロ「血まみれで材木持ってる怪しい奴がいるぞ」

福太郎「ん?」

悠「おっじゃまー」

福太郎「うわっ……悠、顔が格子模様やで」

悠「ちょっとこの柱もらうために子猫……大猫にかかれた」

お仙『なにこの汚い柱』

悠「依代だ。」

福太郎「依代?」

ラム「…………そうかっ!転生!」

悠「ああ、専門家がいてよかった。おれができるのはここまでだから助かる。」

リュカ「どういうこと?」

ラム「死んでしまった精霊級の魂は普通に呼ぶことはできない。だけど強力な依代があればその呼び戻せるはず。その霊魂を依代に憑依させれば…………実態をもって現世に復帰できるかもしれない。」
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