第拾弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「さて……どうかな?」

クロ「どうかなって……ハッキリ言っていいのか?」

福太郎「ハッキリ……って?」

クロ「無理」

お仙『不可能』

リュカ「無茶」

福太郎「うわぉっ……。」

メリー「全員が無理宣言…」

クロ「いくら妖怪でも死ねば終わりなのと同じだ。」

お仙『一度散った命は元には戻らなイ。』

福太郎「え?」

クロ「コイツは例外。」

リュカ「お仙は肉体が死んで霊魂が取り憑いて動いているという感じだからね。生き返ってるけど、意味がまた違う。そもそも雪ん子は精霊だから性質とかが根本から違う」

お仙『なんてこっタ!!』

クロ「どうした?!」

お仙『リュカが知的キャラっぽく装っていル!!』

クロ「お前もう喋るな」

福太郎「んんー……無理かなぁ?」

クロ「そもそもこの水……クンクンッ、やっぱりだ。」

メリー「どうしたの?」

クロ「この水、ただの水だ。」

福太郎「雪ん子ちゃんでないってこと?」

クロ「そうだけど、そうじゃない。」

福太郎「ん?」

クロ「つまりこの水は恐らく雪ん子が溶けたものではある。だけど、こりはもう水だ。雪ん子を形成してあったが、もう水になったってことだ。妖気とか魔力とか、そういう匂いは残ってない。」

福太郎「そう…か」

クロ「……まぁ、一応これは私らの意見だ。道士とかの見解も聞いたほうがいいんじゃないか?」

福太郎「なるほど」

お仙『やっさシー』

リュカ「キャンキャンくるー」

メリー「キュンキュンじゃなくて?」

クロ「うるせーぞ!」

福太郎「ほんなら、さっそくラムさんに連絡入れてみよ」
プルルッ

ラム『はい、もしもし』

福太郎「んっ、どうも、福太郎です」

『なにか用?』

福太郎「説明したら長いんですけど、今時間いけます?」

ラム『長いの?』

福太郎「はい、割と」

ラム『えーと、じゃあ、今出先だから用事が終わったらそっちに向かうわ。それでいいかしら?』

福太郎「すんません、助かります」

ラム『いいわよ。借りもあるしね』

福太郎「借り?」

ラム『天海さんのことよ』

福太郎「ああー、アレはアレで楽しかったんでええですよ。」

ラム『楽しかったって……まぁいいわ。じゃあね。』

福太郎「んっ。どうも」

クロ「なんだって?」

福太郎「夜に来てくれるそうや」

クロ「そうか。」

メリー「なんとかなったらいいね!」
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