第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー中学校:校門前ー

女の子「……無理です」

天海「ん?」

女の子「やっぱり私にお化け退治なんて無理です!」

天海「退治するんとちゃう。説得するんや、説得」

女の子「説得?」

天海「それより……ただならぬ妖気を感じるな」

天海の頭の髪がびみょーにひょこんと立つ。

福太郎「えっ、鬼太郎?」

六角「分かりにくいんだけどねぇ」

天海「行くで」


~~


女教師「生徒は休講、先生たちも臨時の会議だけをしてみんな帰りました。すいません、みんな幽霊を説得するなんてばかばかしいっていって……」

天海「まぁ、気にせんといてください。大抵の大人は幽霊なんていうても信用しませんから。」

福太郎「こちらの学校、もともと幽霊の噂はあったんですか?」

女教師「はい、でもどこにでもある七不思議のようなものです。体育館で何かしてると女の霊が混ざるとか、理科室の骸骨模型が動くとか……あと、落ち武者の霊を見たという生徒も何人かいて」

女の子「ただ、学校に落ち武者って」

女教師「そうなんですよ。おかしいじゃないですか!だから笑い話にしかになってなくて……」

六角「しかし、落ち武者の霊が人間を切りつけるとはなぁ」

女教師「そんなことってあり得るんでしょうか?」

福太郎「幽霊は知りませんけど、俺は人形に切りかかられたことはありますよ」

女の子「えっ?!」

話ながら廊下を歩いていると、天海はピタッと足を止めた。

天海「んー……ここですね。落ち武者の霊が出たのは」

女教師「すごーい!どうしてわかるんですか!」

六角「社長はそういうひとですから!」

ラム「確かに霊気を感じるわね。」

クロ「クンッ、ああ、霊の残り香ある。」

女教師「やだ……」

天海「安心してください。我々はプロですから必ずや成仏させますんで」

六角「お任せください!」

女の子「お、お任せください……」

福太郎「いやー、カッコええね。」

ラム「まぁ、ね……」

天海「ほんなら、ちょっとそこの教室借りれますか幽霊出るまで待機しながら作戦会議するんで」

女教師「よろしくお願いします」


~~


福太郎「俺らはオブザーバーというか、見学でええんかな?」

ラム「それでいいかしら?」

天海「せやな。今日は新人に教えないかんこともあるし……六角さんお願いしますわ」

六角「はいはい、まずこのゴーグル。これをつけてるとお化けが見えるから、そこにとりいだしたるはオバケガン。これを撃って当てるとお化けの動きが止まる。」

お仙『あ、ゴーストバスタ……』

クロ「おい、やめろ」

福太郎「んっ、でもまんまやね」

六角「そしたら、そこに近づいていって捕獲!」

女の子「え、死ぬわけじゃないんですか?」

天海「お化けは死なない」

お仙『試験も何にもなイ』

クロ「やめい!」

女の子「えー、そんなの撃てませんよ。銃なんて撃ったことないし」

六角「平気平気!ほんと、ゲーム感覚だから、あのゾンビ撃つやつとかあるでしょ?それでね、この……」

天海「そのへんでええんちゃうか?」

六角「そうですね」

女の子「え、なんでですか?」

天海「俺に全部任せといたらええねん。俺には全ての幽霊が見えるんやから。」

女の子「……はい」

六角「やっぱカッコいい」

福太郎「やばいは、男の俺でもクラッと来るわ」

お仙『イケメンで勇気あるとかスゲー完璧だナ』

ラム「……」

クロ「なぁ、ほんとにどうかしたか?」

ラム「いえ、なんでもないのよ……」
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