第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋:G-hunー

女の子「なんにしてもこんなところで働けません。失礼します。」

六角「働く、働かないはいいんだけど、働かない場合はうちが立て替えた借金、返してね。」

女の子「……!」

六角「何に使ったか知らないけどさ、また悪徳業者に追い回される毎日になるよ」

女の子「そんなの……卑怯です!」

六角「卑怯っていわれてもねぇ……」

ラム「いや、なかなかえげつないと思うわ」

福太郎「せやねー。けど、俺の知り合いの中学生に借金100憶背負って一生懸命返しょる子おるで」

「「「借金100憶!?」」」

福太郎「そんな、皆で驚かんでも」

ラム「いや、100憶って何よ桃鉄じゃないんだから」

福太郎「詳しい説明は省くけど、父親がバブルのころに不動産に手を出して失敗、その後亡くなって娘さんが背負った系」

六角「それは不憫な……。まぁ、このひとは何の借金か知らないんだけどね、うちの社長もなんで建て替えたのやら」

女の子「えっ、あなた社長じゃないんですか?!」

六角「違うよ。うちの社長は古今東西ありとあらゆる幽霊が見える大霊験者東堂天海(とうどうてんかい)。」

女の子「大……霊?」

福太郎「その天海さんが先輩さんですか?」

ラム「そう。生まれ持った霊能力が桁違いで浮遊霊、地縛霊など関係なく全ての霊を見る能力を持っているの」

ガチャ……
イケメン「六角さん、仕事が……ん?」

お仙『うわ、イケメン』

クロ「おい」

六角「社長、お帰りなさい。こちら例の新人さん。それで……」

ラム「お久しぶりです。天海さん、こちら以前お話した御堂さんです」

天海「ああ、どうも、初めまして天海です。」

福太郎「御堂福太郎です。んで、こっちがクロとお仙」

クロ「大神黒だ」

お仙『御堂お仙でス』

天海「んっ、どうも、ちょうどよかったわ。六角さん仕事やで。」

福太郎「関西弁や」

ラム「そうなのよ」

六角「内容は?」

天海「学校に落ち武者の霊が出たそうや。」

六角「分かりました。すぐに準備します。」

天海「ラムと福太郎さんたちも一緒に来てくれるか?」

ラム「ええ」

福太郎「ええですよ」

女の子「あ、あのぉ……」

天海「ああ、さっそくやけど働いてもらうで。ほい、これ」
ポイっ
女の子「これは……」

天海「制服や。前の子がつかっとった奴やけどええやろ?そこの部屋つこうてええから着替えて」

女の子「わ、わかりました……」

福太郎「めっちゃイケメンでカッコええやん。しかも超スゴイ霊能者とか」

ラム「まぁ……ねぇ。」

クロ「どうかしたか?」

ラム「なんでもないわ。私たちは先に下に降りてましょ」
99/100ページ
スキ