第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ほんで、今日は?」

ラム「ああ、ちょっとね。」

福太郎「ちょっと?」

ラム「知り合い……というか、私の先輩にあたる人がね。お店を始めたのよ」

福太郎「へー、そらおめでとうございます。あったことないけど」

お仙『なんの店ダ?』

ラム「お化け退治専門店」

「「「『……』」」」

ラム「わかってる。あなた達が言いたいことはわかってるから、そういう目で私を見ないで」

福太郎「ええと、鎮伏屋いうことですか?」

ラム「いや、それは大きな組合の総合でしょ?もっと小規模な霊現象専門のお店」

クロ「専門ていうが、そんなもの鎮伏屋だって専門だろ。むしろ超常現象全般は鎮伏屋の生業だろ」

ラム「そうよね。っていうか、その通りなのよ……」

リュカ「ゴクゴクッ、ふう、やっぱり水は硬水に限るわ。」

メリー「これ、軟水って書いてあるけど」

リュカ「ああ、おいしい、やっぱり軟水よねー。ところで、あの小さい子ってずいぶん大人びたしゃべり方するのね」

メリー「小さいけどご主人様と同じくらいの年だよ?」

リュカ「マジ?あんなロリロリなのに」

メリー「それいうと怒るからきをつけてね。お札とか貼られちゃうよ」

リュカ「ちょー怖い」

福太郎「今のを含めてなんか問題が?」

ラム「問題のあるなしで言ったら問題だらけよ」

クロ「それいろいろとダメだろ」

ラム「ダメなのよねぇ……。ダメなんだけど、ちょっと力を貸してくれない?」

福太郎「ええですよ」

クロ「お前はもうちょっと躊躇しろ」

福太郎「いや、普段お世話ンなっとるし」

お仙『この安請け合いがのちにとんでもないことになることを、今の私たちハ……』

クロ「変なナレーション入れんな!!」

福太郎「ほんで具体的には何を?」

ラム「とりあえず、その店に行って先輩の話を聞いてあげてほしいの」

福太郎「俺が?」

ラム「私もいっしょに行くわ。あと、誰かもう一人くらいいてくれたほうがいいわね。」

福太郎「あとひとり……妖怪枠やけど連れて行ってひどいこととかされんよね?」

お仙『やられる前にやってやる!!』

クロ「やめろ」

ラム「そいうのは大丈夫……なんだけど、ね」

クロ「なにか含みがあるな」

福太郎「ほんなら、とりあえずクロでええね」

クロ「なんで私なんだ……」

福太郎「スタンダードは安定するやん」

クロ「誰がスタンダードだ」
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