第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー集合墓地:あやかし屋ー

福太郎「毎度」

骨女『いらっしゃいなんし。本日はひな祭りですね』

福太郎「せやね。男やけどええかな」

骨女『いいですよ』

花の女「植物だけどいいですか?」

骨女『いいですよ。』

二口女「植物?」

花の女「植物です。正確に言うとサボテン」

福太郎「この子、植物の妖怪っぽいんよ」

骨女『へー、植物の妖怪さんですか』

福太郎「珍しい?」

二口女「何百年も生きた大木が妖怪になったりするのはあるけど、サボテンの妖怪は珍しいかもね。」

花の女「まぁでも、サボテンダーとか有名ですし」

二口女「あれはモンスターじゃないかい?」

福太郎「この子も針千本とか打てるっぽいよ」

花の女「本気を出せば9999本もいける気がします」

二口女「序盤だと針千本でも脅威だよね」

福太郎「固定ダメージは怖い」

花の少女「疲れるからしませんけどね」

骨女『おや?』

福太郎「この子、水が減りだしたら縮むんよ」

花の少女「水を、水をください」

骨女『どうぞ』

花の女「ごくごくっ」

骨女『面白いですね』

福太郎「いろいろでけるっぽいけど燃費は悪いっぽいんよね。」

花の女「つねに水のタンクを背負っておけばあるいは……」

二口女「疲れてそのぶん水分消費しそうだね。」

花の女「目から花びらです」

福太郎「目から鱗やろ」

花の女「植物界では花弁といいます」

二口女「ホントかい?」

花の女「嘘です!」

二口女「なかなか面白い子だねぇ」

福太郎「せやろ」

花の女「お水ください」

骨女『飲みますねぇ』

花の女「飲みますよ。」

骨女『有料も考えないといけませんね。』

福太郎「水有料は危ない。」

骨女『冗談ですよ。どっかのシェフじゃあるまいし』

花の女「ごくっごくっ……あ、良かったらどうぞ」
ぽとっ

二口女「果実?」

福太郎「あるていど水分貯蓄があったら果実を生成できるっぽいです。めちゃ甘いで」

二口女「なら、いただきます、がぶっ……甘いっ!」

骨女『私にもください』

花の少女「どうぞ」
ぽとっ

骨女『かぷっ……ほんと、甘くておいしいですね。』

福太郎「ただ、めっちゃ水分消費するっぽいんやけどね」
じょぼぼぼっ
花の女「生きかえるわぁ」

骨女『ああ、かけてもいいんですね。』

花の女「はい、どこからでも吸収できます。」
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