第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「……」

福太郎「……」

悠「お、リーチ」

福太郎「それロン」

悠「え……マジかよ。」

福太郎「んっ。」

悠「最後の最後でいいとこもってくなぁ」

福太郎「まぁ、運ゲーやし。そんな時もあるて」

悠「色んな意味で冷静だな……」

福太郎「めっちゃ楽しいよ?」

悠「福ちゃんの喜怒哀楽が判定しにくい」

福太郎「そんなんいわれたんは初めてや。まぁ、いうほど人と関わり持たんようにしてきたんやけど」

悠「さらっと重たいこと混ぜるのやめて」

福太郎「ギャグですゃん。大阪人の小粋なジョーク。ってか、悠はデリカシー無い人間やのに気なしすぎやで」

悠「酷いいわれようだが、おれだって相手によってはしっかりと言葉は選ぶ……できるだけ」

福太郎「できるだけ……ねぇ」

悠「ちなみに福ちゃんはおれの中で結構貴重っていうかどんどんフラグ立てられてるって感じよ。」

福太郎「んー……身に覚えの無いおぞましいモンがたっとるんやね。」

悠「そんなこといっておれの好感度かせいでいくんだからぁ~ん」

福太郎「そういえば、今日いっしょだった女の人って結局なんやったん?」

悠「それだよな。福ちゃんは有無を言わさずバッサリと切り捨てて話進めるからイケズだ。まるでTHE・handによって削り取られるような……」

福太郎「……」

悠「話普通に聞かないでよ。ツッコミいれてよ」

福太郎「いや、話したぁ無いことなんかと思って」

悠「そういうんじゃないよ。普通に親父のSPなだけ。さっきはオーダーメイドスーツ専門店の道案内してたんだ。」

福太郎「悠の親父さんて何もん?」

悠「ただの会社の社長」

福太郎「へぇ、すごいなぁ……ってことは、将来的に悠も社長になるん?」

悠「まさか……こんな出来の悪い息子を跡取りとかに考えてる訳がない」

福太郎「ふーん。悠にはSPとかついとらんの?」

悠「居るにいる」

福太郎「居るんや?!」

悠「少々頼りなくて青臭いが正式なSPだな。」

福太郎「ミッシェルさんのがええん?」

悠「いや……それは、怖い。あのひと眼鏡で知的クールなイメージだけどめっちゃ肉体派だから。前も背中蹴られて綱引き用の縄で打たれたようなデッカイ蚯蚓腫れできたし。」

福太郎「へぇー。見てみたいな」

悠「蚯蚓腫れを?蹴られるところを?」

福太郎「全過程」

悠「ヤダよ!!」

福太郎「まぁ、冗談やって俺は別に人の苦痛顔みて喜ぶ趣味に無いし」

悠「福ちゃんは淡白だよな……。」

福太郎「悠が濃厚すぎるだけやって。それにほら他人がゴツイことし過ぎると……なんか冷めるやろ。」

悠「福ちゃんてさ、帰れっていわれたらリアルに帰る系だよな。抵抗しないけど関与もしないっていうか」

福太郎「んー……せやね。」

悠「嫌いじゃないよ。そういうの」

福太郎「そらどーも」

悠「福ちゃんも素直におれのことloveっていっていいんだぜ」

福太郎「あ、トイレの電球がちかちかしとったんや。買いに行かな」

悠「ホントにいいわぁ、その作りじゃない本気の無視」

福太郎「マゾ?」

悠「あー……ノーマルだなレベルカンストで」
94/100ページ
スキ