第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ふあぁ……」

幽香「悪いわね。いつも深夜にお邪魔して」

福太郎「んっ、いえいえ、そういうシステムやからしゃーないですわ」

幽香「そうよね」

クロ「翻し早いな」

幽香「それで今回来たのはちょっと用事があってなのよ」

福太郎「幽香さんが用事ってなんや珍しいですね」

幽香「ちょっと探している植物があるの」

福太郎「花ですか?」

幽香「花も咲かせるらしいわ」

お仙『らしイ?』

幽香「あと、棘があるわ」

福太郎「薔薇……はちゃうんですよね。そんなら棘があって花が咲くいうたら」

お仙『アロエ』

幽香「仙人掌よ」

福太郎「さぼてん……ダー?」

幽香「サボテンダーっていうのがあるの?」

福太郎「ええ、針千本とか針9999本とか打ち出す素早いモンスターです」

幽香「そう。それで、サボテンが欲しいのだけど」

クロ「スルーされたな」

福太郎「ですね。ほんでどんなサボテンを?」

幽香「大きくなるものがいいわね。棘が鋭利なのもいいけど」

福太郎「大きなサボテン言うたら……どうなんやろか、特別な品種なんやろか」

幽香「そのあたりを調べて頂戴」

福太郎「俺が?」

幽香「貴方が♪」

福太郎「アッハイ」

幽香「取り急ぎではないけど、とりあえず早いほうがいいわね。」

福太郎「はぁ……」

お仙『でも、なんでサボテン?』

幽香「雑誌っていうのかしら?こういう本の事を」
トッ
福太郎「雑誌ですね。しかし、随分と古い」

幽香「拾いものだからね。それで、このページ。ほら、サボテンの特集を書いてあるでしょ?」

福太郎「んっ、確かに」

幽香「このサボテンなんて人間より大きい、こっちは太くて丸い。面白いでしょ?」

福太郎「ですかね」

お仙『サボテンて食べられるんだよナ』

クロ「らしいな、身はドラゴンフルーツっていうし」

幽香「へぇ、そうなの。」

福太郎「ええ、ど派手な赤い身です。せやけど中身は真っ白」

幽香「ますます面白いわね。気にいったわ」

福太郎「まぁ、ドラゴンフルーツがなるサボテンはなかなか売ってないと思いますけどね。」

幽香「そのあたりは適当でいいわ。とりあえず、今回は大きくなるものが欲しいだけだし」

お仙『なら、明日はサボテン探しだナ』

幽香「意欲のある子は好きよ」

お仙『アザーッス』

クロ「なんだかなぁ……」

福太郎「とりあえず……眠い」
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