第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー集合墓地:あやかし屋ー

福太郎「ここも客層ゆたかになっとるよな」

悠「浴衣で接客?いいと思う」

恋「耳鼻科に行け」

悠「採血されるからヤダ」

恋「耳鼻科でされるか!」

悠「おれは例えねん挫で病院に行っても、ブラックジャック爺に採血されるんだよ」

骨女『まるで吸血鬼ですね。』

悠「どうせなら美女or美少女の吸血鬼に吸われたい」

福太郎「何を?」

悠「げへへっ」

恋「……」
ギュッ!
悠「殴るのとか蹴るのとかはまだいいけど、抓るのはやめれ。痛いから、普通に痛いから」

骨女『なにを吸われるつもりだったんでしょうね。』

福太郎「ナニかなぁ」

悠「それで客層ゆたかって?」

福太郎「俺と悠は人間」

悠「うん」

恋「人間かどうか疑わしいがの」

悠「続けて」
スッ
恋「あ、コラ!恋のあんみつをもっていくな!」

福太郎「んで、恋ちゃんみたいな妖怪」

悠「いや、これも妖怪かどうか……なんちゃってロリ婆説があるし」

恋「蹴り飛ばすぞ!!」

福太郎「そして、あっちに首無しさんと血まみれさん」

首無しの女『お茶が美味しい』
ドポポッ

血まみれの女『あんたの首に直接流し込む飲み方は見てて怖い』

福太郎「そんで悪魔」

メフィスト「日本のスィーツは見た目がビューティフルでテイストはデリシャスデース」

悠「見ないようにしてるから、おれは何も見えない。特に最後」

恋「いや、めっちゃ派手じゃろ」

骨女『おかげさまで毎日忙しいですよ』

福太郎「お店が忙しいんはええことやね」

悠「おれの店なんて閑古鳥飼ってるぜ?」

恋「それはお前がちゃんと働かんからじゃろ」

悠「すいません、追加のぜんざいキャンセルで」

恋「コラー!」

福太郎「まぁまぁ」

二口女「いそがしいのは結構だけど面倒なお客が来ることもあるから困りごともあるんだけどね」

骨女『飲食店にはつきもののToloveるってやつですよ』

福太郎「それラブコメやわ」

悠「面倒なお客って?」

二口女「ゾンビ系の客とか」

骨女『半分腐っていたり、よく分からない汚れ塗れだったりだとさすがに入店されたら困りますからね。血まみれちゃんみたいに血まみれでも汚さない方はいいんですけど』

悠「っか、ゾンビ居るの?」

二口女「いるよ」

骨女『ここらは集合墓地ですからね。外国人の死体も埋まってるんです。そのひと達がたまに起きだしてるみたいで』

福太郎「リアルホラー」

恋「いや、ここにいる大半はホラーじゃからな」
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