第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「はー、ようやく汚れが落ちた。」

悠「……」

福太郎「……」

悠「きゃっ!」

クロ「反応がうぜぇ!」
ゲシッ!
悠「お邪魔してます」

すっきー『蹴られても無反応?!』

福太郎「はい、どうも」

悠「あやかし屋に顔出したら福ちゃんが汚されたと聞いて」

福太郎「間違いではないけど、気になる言い方やわぁ」

悠「ははっ」

クロ「笑うな」

恋「穢(シミ)が出たそうじゃな」

福太郎「穢……煤のこと?」

恋「ああ、そう呼んでおるのか」

悠「それってどんなだった?」

福太郎「まんま、へばりついた悪霊の集合体みたいな感じ」

悠「……やべぇな」

福太郎「ああ、たぶん悠が想像しとるんよりはマイルドやと思うで」

お仙『どんなの想像しタ?』

悠「黒紫色のベチャベチャドロドロのヘドロ状のものが人の顔のように形を変えて吹き上がってる感じ」

福太郎「さすがにそんなんやったら手ださんて」

悠「おれもそれに対して素手で挑むのはキツイな美少女だったら全然オーケーだけど」

恋「どうしてそうなる」

悠「……美少女だったら全然Okだけど!」

恋「二回言うな!」

福太郎「悠の男気は天井知らずやで」

クロ「スケベ心の間違いだろ」

悠「……」
グッ!

クロ「いい笑顔でサムズアップすんなっ!!」

メリー「さむずあっぷ?」

お仙『親指を立てるジェスチャーのことダ』
グッ

クロ「人差し指と中指から親指をつきだすな!」
ゲシッ!
お仙『まーちーがーえーター』

メリー「何か違うの?」

福太郎「今のはフィグ・サインやな」

メリー「ふぃぐ?」

悠「性行為を表す卑猥なジェスチャーなんだZA!」

メリー「……っ///」
ベシベシッ
悠「おれが叩かれるのこれ?しかも金属の定規とか使われて結構痛いんだけど」

クロ「お前も悪い」
ゲシゲシ
お仙『アーウー』

悠「ちなみにおれは世界中のファックサインを覚えている」

クロ「バカだろ」

恋「下品じゃ」

悠「ちなみにこれはフレミングの左手の法則だ」

福太郎「急に真面目なン来た」

恋「フレ……ミング?」

悠「ジョン・フレミングによって考案された、磁場内において電流が流れる導体に力が発生する現象の、それぞれの向きの関係を示すあれだ。」

福太郎「簡単に言うとローレンツ力」

恋「ほ、ほー」

悠「……なんかごめんな」

恋「謝るなっ!」
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