第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「……」
ふらっ
たすっ
揺光【おっと、どうした?】

福太郎「……んー、これ、もしかして度数半端なかったり?」

揺光【当然】

福太郎「これはアレですわ。足っていうか下半身にキてます」

クロ「日本酒は飲みやすいほど飲み過ぎてクラッと来るからな……。もともと福太郎は酒そこまで強い方でもないし」

揺光【ああ、酔いの方か。】

福太郎「なんのほうやと?」

揺光【下半身などというから、欲情したのかと】

クロ「おい」

福太郎「欲情ほどではなくとも揺光さん見たらムラッとはします」

クロ「うぉい!」

揺光【それはまぁ自然の摂理じゃ】

クロ「なにいってんだお前ら」

福太郎「とりあえず、ちょっと横にならせてもらいますわ。お仙、クロ、お相手よろしゅう」

お仙『ガッテン!』

クロ「えー……」

揺光【では、まずは一杯。】

お仙『いただきまス』

クロ「いや、さっきから飲んでるけどな」

揺光【では、服を脱げ】

クロ「なんでだよ!」

揺光【んー……妾がご機嫌になる】

クロ「充分ご機嫌だろ!」

お仙『じゃあ、クロが脱いだら私がご機嫌に……』

クロ「オラぁ!」
ゴッ!
お仙『こめかみが痛イ』

福太郎「クロが脱ぐと聞いて」

クロ「テメーは大人しく寝てろ!」

揺光【大人気じゃな】

クロ「やかましいわ!」

お仙『まぁ、一杯』

クロ「どれだけ飲ませても脱がないぞ」

お仙『エ?』

クロ「え?じゃねぇ!」

揺光【こんこん♪】

クロ「アンタも笑ってんな!」

福太郎「ごめん、水頂戴」

揺光【普通の水と超神水どっちがいい?】

福太郎「普通の水で」

揺光【欲がないのぅ】

お仙『じゃあ、私は超神水デ』

揺光【構わんが死霊が飲むと祓われるぞ】

お仙『アバババババ!』
じゅぅー!

クロ「コップ越しに触るだけで痺れてるぞ!!」

福太郎「むしろ、今のを聞いて飲もうとする勇気がパナイわ」

お仙『あー、ビックリしタ』

クロ「いてて!私も痺れるじゃねーか!」

揺光【死霊だけでなく妖怪にも効果あったんじゃな】

福太郎「揺光さんは平気なん?」

揺光【王水でも平気じゃな。不味くて飲みたくわないが】

クロ「猛毒すら効かない…」

お仙『なになら聞く?』

揺光【冷たいものを食べ過ぎるとお腹が痛くなる。】

クロ「そこは普通かよ!!」

福太郎「なんか今の可愛かった」
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