第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋界隈ー

福太郎「この辺りもあっさりとはいえ雪が積もっとるなぁ」

クロ「ほんとだな。でも、今日中にはとけるだろ」

福太郎「もう霙状やしね。せやけど、日曜と月曜雪マークやったで」

クロ「げーっ」

福太郎「庭駆け回っても……ええんやで?」

クロ「犬じゃねぇ!!」

福太郎「それにしても寒い。買いもんしてとっとと帰ろ」

クロ「そうだな」

ラム「ふー……」

福太郎「あら、ラムさん」

ラム「ん?ああ、こんにちは」

クロ「よう、何してんだ」

ラム「仕事」

福太郎「キョンシー関係?」

ラム「違うわ。あるトンネルの調査依頼」

福太郎「トンネル?」

クロ「調査?」

ラム「端的に言うと幽霊が出るから調べてほしいとのこと」

福太郎「わかりやすい」

ラム「でしょう」

クロ「こんな日にも大変だな」

ラム「まったくよ」

福太郎「ほんまやねぇ。ほんで何処?」

ラム「……は?」

福太郎「いや、何処にあるんかなって」

クロ「まさかついていく気かよ」

福太郎「話のタネに」

ラム「前から思ってたけど……もの好きよね。」

福太郎「好奇心旺盛なんかもです」

クロ「少しは怖がれ」

福太郎「怖いもん見たさってやつ」

ラム「まぁ、いいけど、ついてくるなら手伝いしてよ」

福太郎「俺らにできることあるん?」

ラム「たぶんね。」

クロ「寒いからとっとと帰るって言ってたくせによぉ……」



ー某所:某トンネルー

福太郎「わぁ、いかにも出そうって感じのトンネルやな」

ラム「人通りはもとより、車の通りも一時間に数台しか通らない穴場というより、ほぼ使われてないトンネルよ。一応理由はもっといい道ができたから。」

クロ「それだけじゃないんだろ」

ラム「もう一つはなぜか事故が多い」

福太郎「そこにめっちゃ花とお菓子おかれてますもんね。」

クロ「しかも、まだ真新しいのな」

ラム「さっ、中に入るわよ」

福太郎「こわっ」

ラム「何しについてきたのよ……」

福太郎「いや、もっと明るい感じかと思ったらわりとガチやったんで」

クロ「廃病院の時も大分ガチだっただろ」

福太郎「それもそやね」
スタスタ

ラム「……ほんと、いまだに、い・ま・だ・に、彼がわからない時があるわ」

クロ「安心しろ、私もあいつの行動はたまにわからん」

福太郎「おーい、どしたん?」

ラム「今行くわよ」
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