第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ミハイル「だったら一枚1円で百枚100円だ!」

ラム「いやよ!札一枚書く労力と費用が1円で済むと思ってんの!」

ミハイル「済ませろ!」

ラム「しまいにゃぶん殴るわよ!!」

クロ「色々と酷いな、おい」

チコ「申し訳ありません。殿下は「ド」がつくケチで、自分のためなら他人がどうなろうと構わないと本気で思っているクズなんです」

福太郎「なかなか言うねぇ」

チコ「色々と経験した結果、殿下に対しては容赦も情もかけなくていいと決めたので。」

メリー「経験?」

チコ「……裏返った人間の肉塊を見たり、アルマジロの活け造りを見たり」

お仙『すっげー経験だナ』

福太郎「ほぼ裏返ったような人間の肉塊なら見たことあるけどアルマジロの活け造りは見たことないなぁ」

チコ「見ないほうがいいです。食欲無くすどころか気を失いますから」

クロ「悪趣味だな……」

お仙『というかアルマジロって食えるのカ?』

チコ「食べられるらしいですよ……。」

福太郎「美味しいん?」

チコ「イマイチらしいです。美味しくても私は絶対に食べたくないですけど」

クロ「だろーな」

ミハイル「なら!十枚で100円!」

ラム「札の材料費だけで10000円は必要だから!」

ミハイル「紙切れにそんなに出せと!!」

ラム「おふだよ!!」

福太郎「……まだまだ長そうやな」

チコ「すいません、ホント我儘で」

福太郎「いやいや。」

クロ「何処かで止めないと永遠に続けそうじゃないか?」

福太郎「せやな。妥協点作るべきかも」

チコ「鉄パイプとかあったらそれでぶん殴ってくださればいいですよ」

福太郎「それは最後の手段てことで」

クロ「なら、どうするんだ?」

福太郎「んー……えーと、お二人さん」

ミハイル「なんだ!」
ラム「なによ!!」

福太郎「100枚っていうんは多すぎるんで、ここはひとつ一枚、強力なおふだを作ってもらうっていうんはどないですか?」

ミハイル「……なるほど」

福太郎「しっかりとしたもんにはそれなりの額が必要、ということで一枚1万円でどない?」

ミハイル「高い!100円にまけろ!」

福太郎「100円まけるん?」

ミハイル「100円にまけろといったんだ!」

福太郎「……」

ラム「……ちょっといい?」

ミハイル「やる気になったか!」

ラム「フッ」
ゴスッ!
ミハイル「ぐぇっ!」

チコ「ナイススイング」

ラム「人の頭を灰皿でどついたのは初めてだわ」
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