第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ただいま」

ラム「おかえり」

福太郎「んっ、ラムさんいらっしゃっ……どないしたんです?包帯巻いて」

ラム「ドジったのよ」

福太郎「ドジった……え、事故?」

クロ「キョンシーにやられたらしい」

福太郎「えぇっ?!」

ラム「やられたのは事実だけど事故だから仕方ないわ」

福太郎「どういうことです?」

ラム「仕事で依頼があったキョンシーなんだけど、ちょっと訳ありでね」

福太郎「んっ」

ラム「そのキョンシーが鬼とキョンシーの間に生まれた子なのよ」

福太郎「ストップ」

ラム「なに?」

福太郎「今、さらっと凄いこと言いましたよね?」

ラム「鬼とキョンシーの間に出来た子」

福太郎「……どっちがお父さん?」

ラム「鬼」

福太郎「なら奥さんがキョンシー……いや、その二人が夫婦になったんは置いとくとして、そのキョンシーさんて子供産めますのん?」

ラム「産めるわよ。」

クロ「サラっといったな」

ラム「もちろん、それなりに準備はいるけどね。まぁ、細かいことは今は置いておきましょう」

福太郎「ちなみに生まれてきた子って……」

ラム「生きてるわよ。正確に言うと死者として生きてるんじゃなくて、しっかりと生者として生きてるってことね」

福太郎「でも、キョンシー?」

ラム「キョンシーと鬼のハーフ。でも、鬼の旦那さんが人間と鬼のハーフだったから人間の血も交じってるの。だから、人間の身体に鬼とキョンシーの特性が混じってる感じかしら」

福太郎「……」

ラム「いや、うん。分けわからないのは分かってるけど、とりあえず話を聞いて頂戴」

福太郎「アッハイ」

ラム「で、その子は「人間」だけど「キョンシーの特性」と「鬼の特性」をもってるから少し困ったことになってて」

福太郎「困ったこと?」

ラム「とてつもなく怪力なの」

福太郎「……はぁ」

ラム「いや、ホントにヤバいのよ。鉄球とか軽々かち割るぐらい怪力なの。」

福太郎「悠とかもそのくらいはできそうやけど……まぁ、続けてください」

ラム「怪力にあと普通の食事がとれない。血液しか受け付けない」

クロ「普通のくいもの食べたらどうなる?」

ラム「動けなくなる。」

クロ「こいつはガンガン食ってるが?」

お仙『ご飯大好キ!』

ラム「それは例外と思って」

お仙『あふン』

福太郎「それで何で怪我されはったん?」

ラム「怪力を制御するお札を張替え中にひょんなことから外れちゃってね。拾おうとした私とその子が一緒に動いてぶつかって吹っ飛ばされちゃったのよ……」

福太郎「そら……ホンマの事故ですね。」

ラム「ええ……事故なのよ。」
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