第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ぐぅぐぅ…」

クロ「すぅすぅ…」

お仙『くぅーくぅー…』

メリー「う、うーん……」

『……』

メリー「はっ!?なに!何かいるの!」
バッ!

『こっち』

メリー「なに、誰!」

『こっちです』

メリー「どこ?」

『こっちですって』

メリー「んー?」

『あの、窓の方です』

メリー「まど?」

小人『見えますか?』

メリー「あ、見えるわ。あなた妖怪?」

妖精『いえ、妖精です』

メリー「妖精?!そんなものがいるの!?」

妖精『妖怪が居るんですから妖精だっていますよ』

メリー「それもそうね。それで妖精が何か御用?」

妖精『はい、実は私は夢を司る妖精なのですが、貴女から邪悪な気配を感じました』

メリー「邪悪な気配?」

妖精『夢見が悪いことはありませんか?』

メリー「……言われてみればここ最近悪夢を見て夜中に目が覚めてるわ。」

妖精『やっぱり、それは何か悪夢を見せる悪いものが取り憑いているのです』

メリー「そんな、どうすればいいの?」

妖精『私がどうにかします。なので、どうかここを開けてもらえないでしょうか?』

メリー「窓を?」

妖精『はい、私は幽霊などではなく実態があるので窓が開いてないと入れないのです』

メリー「じゃあ、ちょっと待ってご主さまを起こすから」

妖精『ああ、いけません!』

メリー「どうして?」

妖精『妖精は人間に見られるとダメなんです』

メリー「そうなの?」

妖精『そうなんです』

メリー「だけど私の力じゃ窓は開けられないわ」

妖精『どうにかなりませんか?』

メリー「……人間じゃなかったらいいのよね?」

妖精『はい』

メリー「じゃあ、ちょっと待ってて。よいしょ、クロ。クロー。」
ぺちぺち
クロ「う、うーん……なんだぁ?」

メリー「ちょっと窓開けて」

クロ「あー?まどなんてあけたらさむいだろぉ……」

メリー「お願い!ちょっとだけでいいか!」

クロ「ふぁー……もぉー、なんなんだぁ……。ちょっとだけだぞ……」
カチャ、スッ……

メリー「クロ、ありがとう!」

妖精『ハハハッ!かかったな馬鹿め!』

メリー「えっ?!」

夢魔『妖精なんて嘘っぱちよ!私は夢魔悪夢を見せていたのは私だ!!さぁ、その人間に取り憑いてや……ぎゃああああ!』
バッ!バチチチチ!

福太郎「うおっ?!」

お仙『なんダ!!』

夢魔『ししし、びびびれれれるるるぅぅぅぅ!』
バチチチっ!

メリー「いったいなにが?」

福太郎「……あ、ラムさんが置いていってくれたお札の効果かな」
スッ

クロ「なんで枕の下に入れてる」

福太郎「ええ夢見れるかと思って」

夢魔『……』
バチチチ

お仙『なんかぴくぴくしてるゾ。』
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