第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ふむ……なくなりました」

メリー「なにが?」

すっきー『小銭でも落としたんスか?』

福太郎「いや、読む本」

メリー「あんなにあったのに?」

福太郎「読み切った。読み切り過ぎて悠の持ってきた「面白くないわけじゃないけどイマイチ本」まで読み切った」

すっきー『なんなんすかそれ…』

福太郎「物語としてはおもしろいけどなにかイマイチな本、さすが看板に偽りなしやった」

メリー「微妙な看板ね」

福太郎「本屋にいってこよかな」

メリー「私漫画欲しい」

福太郎「漫画太郎作品でええかな」

メリー「よく分かんないけどイヤっていっとく」

福太郎「ちなみにようようとすっきーはなんか欲しい本ある?」

ようよう「そうだなぁ、メンズファッション誌」

福太郎「ベビー用品雑誌やね」

メリー「そうなっちゃうよね」

ようよう「ふー……こういあのは雰囲気の問題だぜ」

福太郎「話の流れからすっきーは……女性下着のカタログ?」

すっきー『どういう話のながれでそうなったんすか!!』

福太郎「ちゃうのん?ピーチジョンとかグンゼの新作とかみたーないんかなーって」

すっきー『なんで女性下着メーカーにそんな詳しいの……』

福太郎「結構通販好きなんよ」

すっきー『だからって女性下着は関係ないでしょ!!』

福太郎「まぁね」

メリー「ときどきご主人様も変よね」

福太郎「たまにはそういうこというてバランスとらんとダメんなるんよ」

すっきー『女性下着の話題を真顔で話してる時点でダメだと思いますけど』

福太郎「あはは、そんなん言うたら他人が見たら今の俺なんか部屋ん中でひとり話し続ける可哀想な人やで」

ようよう「卑屈になるなって」

福太郎「いや、全然普通やで」

すっきー『普通でそのネガティーなのはホントどうなんでしょうね』

福太郎「躁鬱なんより安定してネガがはいっとる方が安心のクォリティーやろ」

すっきー『なんに対する安心なのか全然分からない』

福太郎「急に明るくなったりしたら危ないって悠がいうてたんよ。」

メリー「情報ソースが怪しい」

すっきー『いい加減に輪をかけた人間ですし』

福太郎「悠に対する評価が丸わかりやな」

ようよう「まぁ、二人ともさんざんやられてるしな」

福太郎「そういえばようようはあんまりやられんよな」

ようよう「そうでもねーよ。たまに脳の形を変えようとしやがるし」

福太郎「んー……それはなんとかなく分かる」

メリー「やっちゃダメだし、分かってもダメでしょ?!」

福太郎「さてと、ちょっと本屋さんいってこよかな」

すっきー『下着のカタログなんていらないっすよ』

福太郎「ん、わかった。かわりに……」

すっきー『代わりに?』

福太郎「BL本買ってくる」

すっきー『イラねーっス!!』

ようよう「っていうか、それを買う勇気はあるのかよ……」
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