第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー廃病院:ホールー

悠「邪魔するぞコラァ!」
ドガッシャーン!

福太郎「いくら廃病院やからてドア蹴破らんでも」

ラム「無茶苦茶だわ……」

クロ「まぁ、今更だわな」

お仙『これ、何処置こうカ?』

福太郎「そこの比較的綺麗なソファーでええんちゃうかな」

骨犬『くっさ!薬品くっさ!』

福太郎「臭うん?」

骨犬『めっちゃ臭いますわ』

血まみれの女『何事よー!!』
ダダダッ

福太郎「全力疾走してくる血まみれの幽霊って怖いな」

クロ「確かに」

悠「こっちか!」
バッ!

ラム「違う。あっち。」
スッ

悠「ん?」

ラム「指の先」

悠「指の先は爪だ」

ラム「しばくわよ」

血まみれの女『この年の瀬に何の騒ぎよ、祟るわよ』

福太郎「首無しさんおります?」

血まみれの女『今こっちに来てるわ』

首のない女『呼びました?』

福太郎「んっ、実は……見つけたんですよ。身体」

首のない女『……え?』

クロ「ただ、首のない白骨死体ってだけでアンタの身体かどうか確証はない自分で確かめてくれ。」

首のない女『ど、どこに?』

ラム「そこよ」

悠「どこだ?」

ラム「……」
ガスッ!
悠「してやられた、というわけか」

お仙『これダ。開けるゾ』
ジジジ…

首のない女『……』

福太郎「どう?」

首のない女『……これ、私です。私の身体です!!』

福太郎「やった!」

悠「どった!」

福太郎「当たりやって!」

悠「そうか、そりゃよかった。おれには見えないけど、こっちの声は聞こえるんだよな。だったら、よく聞いてくれ、この骨はアンタ実家にちゃん届けておく。」

福太郎「とのことです。」

首のない女『私、今、きっと泣いてます。頭がないとちょっと不便ですけど、泣き顔を見られなくていいですね。』

ラム「一件落着みたいね」

クロ「年越し前に片付いてよかったよ、ホント」

血まみれの女『あのさ、水差すようなこと言うんだけど……成仏しないの?』

首のない女『……あれ?えーと、あれれ?』

福太郎「これはどういう感じです?」

ラム「恐らく長く現世に居続けて地縛しちゃったのね」

福太郎「どうなりますのん?」

ラム「まぁ、自然と成仏するまでは今まで通りでしょうね」

福太郎「……悠、ひとことどうぞ」

悠「骨折り損ならぬ骨掘り損のくたびれもうけ」

クロ「ひでぇオチだ」

骨犬『ちゃんちゃん』
32/100ページ
スキ